main 〜Moira〜

□小さな嫉妬心
1ページ/5ページ

「エレウセウス!何処に行っていたんだい?」
帰ってくるなり歩み寄りながら言ってくるレオンティウスに、エレウセウスは内心嘆息をついた。
其れでは何故お前がここにいるのかとか、度々来るべきでは無いだろうとか毎度の様に問いただしたくなるが、正直無駄な事だと判明しているので止めておく。
「君の顔を見に来てみたのに、君がいなくてはどうしようもないじゃないか」
「わざわざ来てくれなくても構わないのだが」
「冷たいなぁエレウセウス・・・」
泣き出しそうな顔を見せられては、何だか此方が悪い事をした様で胸がちくりと痛くなるのだが。

「で、何処に行っていたんだい?」
「タナトスの所へ、話をしに行っていた」
顔を僅かに上げたレオンティウスと一瞬目が合い、何故か故意に逸らされる。
そのままレオンティウスはぷい、と背中を向けた。
次へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ