リク献上スペース

□紫苑様へ(第三回リク分)
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「ムシュー、紅茶をお持ち致しましたわ」
「うん。メルスィー、ヴィオレット」
カタン、と小さく音をたてて置かれたティーカップに、イヴェールはにこりと微笑んだ。
その様子を見て、ヴィオレットも口元を綻ばせる。

イヴェールが上機嫌な理由。
来客があったのだ。
彼と、テーブルを挟んだ向こう側に、一人。

「ムシュー・エレウセウス。此方をどうぞ」
ヴィオレットと瓜二つの少女がエレウセウスの前にカップを差し出す。
「あ、あぁ……。…有難う…」
何処かぎこちない様子の青年――エレウセウス――は、目の前のカップに注がれた琥珀色の液体を覗き込んだ。
「其れでは、失礼致しますわ」
「御用の際には、呼鈴を鳴らして下さいましね」

双子が同時にぺこりとお辞儀をして扉の向こうへと姿を消すと、エレウセウスは怪訝そうな表情をイヴェールへと向けた。
「…イヴェール…。此れが、紅茶…なのか?」
「そうだよ」

今日エレウセウスがイヴェールの元を訪れた理由。
それが、此れだった。
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