狂想曲

□狂想曲・後編
2ページ/6ページ

「そ…っ、それは……」
不意に、シズちゃんが口ごもった。
不思議に思って様子を窺おうと顔を向けると、今度はシズちゃんが俺から目線を外す。
それから、何処となく…顔も赤くなっているような…?
「どうでもいいだろ」
「どうでもよくない!」
俺は起き上がってどう怒鳴った。シズちゃんが俺の変化に、目を丸くして見返してくる。
「だってシズちゃん、いつもいつも俺の事嫌いだの死ねだの帰れだの散々言っておいて、何で自分はわざわざ俺の家にまで来てるわけ?訳分かんないじゃん?」
「嫌いとか、好きとかじゃねェよ」
「は?」
「…その……アレだ。気になったんだよ」
そう言うなり、シズちゃんは自分の足元へと視線を落とす。組まれた指が、まだ何か言いたそうにもじもじと動いていた。
反対に俺は、言われた言葉の意味が分からず、ただぽかんとした表情を浮かべるしか出来なかった。
「……え、っと……。シズちゃん?」
「何だよ」
「ちょっと俺、話についていけてない…かも」
「?」
一見不機嫌そうな、でも疑問符を浮かべるシズちゃんに、俺はしどろもどろに言葉を繋ぐ。
「だから、その……。何が、気になったの?」
「手前に決まってるじゃねェか」

は?

思いきり露骨に顔に出してしまった俺に、シズちゃんは更に言葉を重ねる。
「風邪、ひいて、ぶっ倒れてただろ?」
次へ
前へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ