main 〜Moira〜

□何度でも、そう、何度でも。
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悲しげな瞳で、そっと手を両手で取られ、エレウセウスの紫眼が揺れる。
タナトスは厳かに、その手に口付ける。
「・・・我ハ、君ガ悲シム姿ヲ見タクナィ」

「・・・・・・タナト、ス・・・」

不意に抱き寄せられ、自分の鼓動と体温をはっきりと感じさせられる。
タナトスは彼を胸元に抱き込んで、その髪に、額に、頬に、温もりを落とす。エレウセウスは抵抗もせず、大人しくされるが儘だ。
「ドゥシタ?エレゥセゥス・・・」
「貴方は、冥府に住まうものだ」
「ソゥダガ?」
そう言いながら接吻しようと近付いてきた顔を両手で制す。
「俺はまだ何も成していない。まだ死ぬわけにはいかない」
「ダガ、其レヲ成ス為ニハ、君ハ傷付カナケレバナラナィ」
再度、紫眼が揺れる。
制していた手を外して、タナトスは再度顔を近付ける。唇が触れ合うと、タナトスはその温もりを貪った。
「っん・・・・・・んぅ・・・!!」
思ったより強く抱き寄せられ、エレウセウスの唇から声が漏れる。唇を離して見つめ合うと、紫の瞳は既に潤み始めていた。
「愛シテル・・・」
口付け、ひとつ。
「我ハ君ヲ傷付ケナイカラ」
更に、口付け、ひとつ。
「愛シテル」
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