短編

□拍手
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◆拍手・その3

裏切り前で恋人設定。






「弁慶さん…」

「望美さん…」


見つめ合い、甘い空気を漂わすのは望美と弁慶。

周りの八葉達の目をはばかることなくいちゃつく二人に少なからずショックを受ける者が多々いる。

それもそのはず、望美のことを想っていたのは弁慶だけではない。

その中でも特にショックを受けていたのが、望美の幼なじみである譲だ。

譲は小さい頃からずっと望美のことが好きだった。

それをよその世界の人間である、ずっと年上の男に取られてしまったのだ。


「…いや!俺にだってまだチャンスが…」


先輩の事は誰よりも知っている!(将臣には負けるが…)

それに先輩はこの世界の人間じゃない、いつかは帰るんだ。

譲は意を決して、望美の元へと向かう。

他の誰も決していかない二人の甘い空気が流れる空間へ。

譲は望美と弁慶が二人で休んでいる部屋へと声もかけずに勢いよく入った。


「先輩!!話が…!」


勢いよく障子を開けたはいいが、そこに映った光景に目を見開いた。

一組の褥が敷かれて、その上に肌蹴た望美と弁慶が抱き締めあっていた。

まさに情事の真っ最中…


「ゆ、譲君!?」


突然入って来た譲に、望美はいそいそと肌蹴を整える。

弁慶は自分の身体を盾にして、望美を隠してやる。


「譲君?声もかけないで入ってくるなんて無粋ですよ」


にっこりと笑みを浮かべ、弁慶は譲をねぎらった。

一瞬、氷のように固まっていた譲だが我に返るとその場から走って去っていった。

その晩、一晩中、譲のすすり泣く声が邸に響き渡っていた。

即日、望美の首筋に付けられた後を目の辺りにされ、さらに落ち込む譲でした。

もちろん、弁慶は満面の笑みで。






END
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