黄昏の騎士

□昨日の戦友は今日の敵
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「でぇや!」

大きく振るわれた斧を身体を反転させて回避する。

…当たったら、確実に死ぬな…。

さて、反撃しないとッ!!

ってことで、おさらい!

忍術とは、火、金、水、木、土、の五行からなるもの。

…そして、心、体、技が全てが揃った者が、自然と一体なり、力が使えるのだ。

…確か、そんな事をすずちゃんが言っていた。

心は結構自信ある!

体と技術もすずちゃんに鍛えてもらった。

…大丈夫、自然と一体にッ!!

すると、あたしの手が発火する。

…よし!

【…曼珠沙華!!】

炎を纏った手裏剣をふたりに投げる。

あたしは晶術使えないけど、これならアレに頼らなくてもいける!

「ぐっ!」

オレンジ色の髪の女性が怯んだ隙に一気に懐へと飛び込む。

【土竜閃!】

小太刀を地面に突き刺す。

すると、ドッ!と三本の岩の槍が地面から突き出る。

「ああっ!」

彼女の悲鳴と供に斧が砕け、彼女の身体は宙を舞った。

…ちょい、やり過ぎたかな?

【マリーッ!!
くそ!これでも食らいなさい!
アイスニードル!】

後ろで詠唱していた黒髪の女性が晶術を発動する。

お返しと言わばかりに三本の氷の槍があたし目掛けて一直線に落ちて来る。

大丈夫、動きは単純だ。

タンッと地面を蹴って最小限の動きで三本の槍をかわす。

【滅掌破!】

そして左手貯めた闇の気を、一気に彼女の腹部へぶつける。

「かはっ!」

同じように彼女も気を失って、バタリと倒れた。

こっちも、やり過ぎた?

…ま、いっか。


キンッと、小太刀を腰の後部にある鞘に納める。

…さて、リオンは…?

…彼の方を振り向くと、大技の真っ最中だった。

【塵も残さん!奥義!
浄破滅焼闇ッ!!】

…双剣で敵を斬りつけ、吹き上がった光と闇の炎がスタンを襲う。

「…容赦ないな、リオン」

…んな、大技使わなくても?

「ぐああああッ!」

スタンの悲鳴が辺りに響く。

バタリとスタンが倒れたのと同時に彼はシャルを鞘にしまう。

「お見事〜!」

パチパチと手を叩くと、ジッと変な目で見られた。

「…おまえ、なんだあの奇怪な技は?」

「…忍術だよ」

ていうか、スタンと戦いながらこっち見てたのか?

…不思議そうな視線で見られる。

「…忍術?」

「そ!
どう、アレ使わなくても全然足手纏いになんかならないでしょ?」

「…確かにな」

そしてリオンは振り向き、ポカンとしている兵士達に撃を飛ばす!

「おい!
貴様らさっさとこのバカどもをダリルシェイドへ連行しろ!!」

「は、はっ!」

兵士達は慌てながらもテキパキと動き、彼等をダリルシェイドに運ぶ準備を進める。

「…ルーティ・カトレットだったっけ?
なんか、リオンに似てなかった?
…まさか、兄弟だったりして」

ニヤリと笑うと、キッとした視線で睨まれた。

「そんな訳ないだろう!」

「だよねぇ!」

…だが、リオンの顔は、少し焦っているように見えた。


ゾオオオ!


ビクッと身体が震える。

…なんだ?

辺りを見回すと、悪のオーラの発生源は剣だった。

「…ど、どうしたシャル?
さっきから黙りっ放しで…?」

あのリオンも、なかなか同様しているようだ。

『そりゃそうですよ、ディムロスたちと戦ったんですから…。
おまけに向こうのマスターを完全にのしちゃうしな〜…。
…後からなんて言われるか考えると…はぁ〜』

…なんか、ネガティブのネガティブによるネガティブのためのシャルって感じだ。

…どこの大魔王だ、おまえは?

「…と、とにかく!
帰ろう、あたし達の家に!!」

「…あ、ああ」


あたし達は、来たばかりの道を引き返し始めた。
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