黄昏の騎士

□昨日の戦友は今日の敵
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「…でぇいっ!」

リオンのその掛け声と共に敵は赤色液体を飛ばし、ぐしゃっと潰れた。

「…なんまいだぶ、なんまいだぶ」

「…おい、何をしている?」

「…えっと、お祈り?」

「バカか貴様は?
さっさと手伝え!」

「…ええ〜」

駄々を捏ねるとピタリと首筋にシャルが当たる。

「…冷たいね、シャルの身体冷えてるんじゃない?」

「安心しろ。
…今すぐ貴様も冷たくしてやる」

…怖いよ、目が笑ってないよ。

「…ごめんなさい。
あたしもタタカイマス…」

仕方ないので腰に差してある小太刀を抜き怪鳥を切り捨てる。

…そして、その場にいたモンスターは全て倒れた。

「…あれは使わないのか?」

疑問そうな表情のエミリオにちっちっち!と人差し指を振って笑ってみせる。

「切り札ってのは最後の最後までとっておくものよ」

『…確かにそうですね?』

「…ふん、くだらない。
それで僕の足を引っ張るなよ」

「へーい!
客員剣士様」

『…あれ?
確かユウも客員剣士ですよね?」

……え?

「…何言ってんのシャル?…あたしは……」

って、あれ?
あたしの役職ってなんだ?

「…客員剣士副官とかいう役職はないからな。
面倒くさいからヒューゴがおまえも客員剣士にしたんだろ?」

…ってことは…?

「…あたしエミリオと対等?」

『そういう事になりますね』


ニヤッ


「じゃあ、あたしに命令なんて出来ないわよね?」

「…貴様ッ!!」

…怖い顔で睨まれる。

「じょーだんだって!
…肩書きが同じでも、あたしはエミリオの直属の部下だから」

あたしが言うと彼は目を逸らした。

『…あ、ハーメンツが見えて来た!』

「…本当だ!
早く行こっエミリオ!」

「…おまえ…!」

「わーってるって、リオン!」

エミリオって呼ぶのはふたり切りか、マリアンと3人の時だけだもんね。

「…そういえば、リオン、まだあたしの名前呼んだ事ないよね?」

「…そうだったか?」

リオンはスタスタと歩いて行く。

「…ユウって呼んでよ!」

「断る。
ほら、さっさと戦闘の準備をしろ!」

「ええ〜!!」


そんな会話をしながら、あたし達はハーメンツへと乗り込んだ。
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