黄昏の騎士

□新たな任務
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―ダリルシェイド―


あたしとエミリオは、任務報告の為、城を目指す。

そして、ある人影に気付く。

「今、戻ったのか。
…思いのほか、時間がかかったな」

ヒューゴはあたし達の帰りを待っていたのか、城の入口に立っていた。

「申し訳ありません。
ヒューゴ様」

リオンが頭を下げたので、それを見習って私も真似る。

「報告を聞いたぞ、ソーディアンを二本も回収したようだな」

「はい」

「この事は陛下のお耳にも入っている。
捕らえた罪人を連れ、陛下のもとへ来い」

…すると、リオンの表情が変わる。

「…ただの盗掘者風情を陛下のもとへ?」

「あの者達には余罪の疑いがある」

「…余罪といっても、恐喝やその程度と聞いておりますが?」

「…あたしもそう聞きましたけど?」

「おまえも聞いているであろう。
先日の飛行龍の件」

チラリとリオンはあたしを見た。

「…航行中の飛行竜がモンスターの襲撃を受け、一切の消息を断ったという?
…まさか、その犯人だと?」

「…そうだ。
その事で陛下とドライデン閣下があの者達を直接尋問なさる」

「それは違いますッ!!」


ヒューゴはジッーとあたしを見詰める。

「…ほう、何故かね?」

「…えっと…その」

…とても、飛行竜にいたからなんて言えない。

「…あれはモンスターの仕業であって、あの者たちとは関係ないはずでは?」

「…どうしたのだ、リオン?
やけに罪人の肩を持つようだが…?」

「…いえ、そういうわけでは…」

…確かに、リオンの様子はおかしい。

「男の方が持っていたソーディアン。
あれは飛行竜で護送中だったもの…」

「男…?
あの金髪の男ですか?
…それでは、女の方は無関係……」

「何を言う?
あの者達は共に手を結び仕事をしていたのだぞ!
関係があると考えるのが自然であろう」

…そりゃあ、そうだよね。

「………」

「…リオン」

リオンは俯く。

「…いずれにせよ、閣下が黙っていないだろう。
事の成り行き次第では極刑も考えられる」

「極刑…ッ!!」

…いくらなんでもそれはやり過ぎじゃ!!

「…ヒューゴ様は、
ヒューゴ様はご存じなのでしょうか?
…あの罪人達の名を」

「……ああ、知っている」

「それなら、ソーディアンを持っていたあの女は……!」

……ソーディアンを持つ女って、ルーティ?

「あのソーディアンは本来、私が発見し、所有していたものだ。
…まさか手元に戻ってくるとはな。
感謝しているぞ、リオン」


「…あなたという人は……!」

「おい、こちらへ来てくれ」

ヒューゴは近くの兵士を呼ぶ。

「はっ!」

「…地下牢から罪人を移動させたい、よろしく頼むぞ」

「了解しました」

「そういう事だ。
罪人を連れて、陛下のもとへ来るのだぞ、分かったな、リオン、ユウリ」

ヒューゴはニヤリと笑った。
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