黄昏の騎士

□静寂にたたずむ神殿
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―ストレイライズ神殿―



「…人影がない」

辺りはガランとしている。

「…いつもだったらここは、多くの信者などで賑わっているはず」

「…よほどの事が起こったみたいね」

…そういいながらガルドを探すルーティのが、あたしにとってよほどの事だけどね。

「…血のにおいがする」

…マリーが呟く。

「血ッ!?」

…う〜ん、なかなか修羅場っぽいな、この神殿。

「誰か!誰かいませんか!」

いきなり大声を出すスタン。

神殿のせいだろうか、音が反響する。

『いきなり大声を出すな!
何処かに敵がいたらどうする?』

「…困っている人がいるかもしれない。
助けに来たって教えてやらなくちゃ!」

…まあ、どっちも正しい気がするけど…。

「…どなたかいらしたのですか?」

…扉の奥から声がした。

「中に誰かいるのか?」

リオンを先頭にあたし達は扉に近付く。

「…は、はい。お助けください」

「任せてください。
今、扉を開けますから」

スタンが扉に触ろうとする。

『…待て!スタン!
この扉には結界が張られている』

『…これは、大昔に使われていた仕掛けねひとつね』

…結界。

…なんか、扉には髑髏みたいなのがある。

「それで、どうすれば開く?」

『周辺に設置された結界石を全て破壊するんです』

「…分かった!やろう、リオン」

「おまえに言われるまでもない。
いちいち口を挟むな」

…仲悪いってよりは、リオンが拒否ってるって感じだな。

「…もうちょっと待っててくださいね」

…スタンが優しく言う。

「わ、分かりました」

…多分、向こうは頷いた。

「…いいよ、んなことしなくたって」

…肩をぐるぐると回す。

「…え?」

『何をするつもりだ?』

ディムが聞いてくる。

…ディムのくせに。

「…いや、ぶっこわそうかと?」

「…ユウ、おまえまさかっ!」

…リオンはあたしを見詰める。

「…いいから、離れて離れて」

…別に、無理にこの結界付き扉ぶち破らなくてたって、隣りの普通の壁ぶち破れば言い訳だしね。

…ちょっと、軽く裏技?

…あたしはそんなこと思いながら目を閉じる。


…かあああ!


…あたしの身体は翡翠色に輝き出す。

「なによ、コレッ!?」

ルーティのそんな声が聞こえた。


…自由な鎖<リバティチェーン>


…自由なのに鎖か矛盾してる。


「…すげぇ」


行くよっ!!

あたしの特殊能力<チカラ>

「…いくよ!!」

魔方陣が浮かび、13本の鎖が出現する。


カッ!


「突破れッ!!」


ドオオンッ!!


…大きな音と共に壁は崩れる。


「よっし!」

上手くいった!

…鎖は、あたしの中へと戻っていく。

『…な、なんということだ』

その場にいる全員が立ち尽くしていた。

「さっ!入ろ!」

あたしは、大きく開いた穴を通って、部屋の中へと入った。
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