黄昏の騎士

□悪夢から目覚めし者
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ゴォォォ!




……視界が広がる。



目の前には、澄んだ青が壮大に広がっている。



天国って青いのか?


…いや、まさかね…。

だって、なんか白いイメージあるし…。



…まぁ、あたしの勝手な想像だけど。



「…風が気持ちいい」

…なんだろ、妙に浮遊感もあるし…。


ガバッと上体を起こすと、辺りには、空が広がっていた。


…な〜んか、妙に現実身があるわね…。


自分の服を確認すると、相野高校の制服を着ていた。

……あの時のまま?


…いや、違う、怪我も治ってるし、破けてた部分も戻ってる…。


視線を横に移すと、不自然に置いてある、弓矢と小太刀。



…どゆこと?

とりあえず、何らかのアクシデントに備える為、小太刀と弓矢を装着する。


両方共、丈夫そうな紐が付いていたので、小太刀を腰に、弓矢を胸にきつく縛る。


「…さてと」

そう呟き、辺りを見回してみる。

…ここは、現実世界…なのか?


…でも、見た感じ多分そうっぽいな。


…ハァ。


…いったい何がどうなってるんだ…?


ゴォォォ!


機械的な音。

…多分、飛行船かなんかだろう。

そして、ここは甲板。

柵に近付き、下を除き込む。


ヒョォォ


「たっかっ!」

そう、口に出してしまう程、大地との距離は離れていた。




「オイッ!!
貴様そこで何をしているっ!?」

「は?」

振り向くと、鎧を身に纏った兵士がひとり。

…ついさっき(?)の事があるので、咄嗟に弓を構える。


……拉致されて、ここに連れて来られた。

…そう考える事も出来るが、多分違うような気がする。


「…ていうか、アンタに聞くのが一番早いよね?」


「…貴様!!やるつも…


ヒュッ



ちょっとセコい気もするが、兵士が言い終わる前に矢を放つ。


ドスッ!!


矢は一直線に兵士の肩の関節部へと突き刺さった。


「ぐっぅぅう!」


兵士の呻き声を上げて、地面に膝を付く。


「…さ〜て!
ちょっくら色々と吐いてもらおうか?」


ニヤリとあたしは笑う。

「…貴様ッ…!!
…やはりアレを狙っているのかっ!?」


……アレ?

「…アレってなに?」

「…言うと思っているのか?」


兵士が挑発的な視線をあたしに送る。

…へぇー。

あたしに盾突こうとは良い度胸してるじゃなーい。


ドスッ!!!


兵士の肩に突き刺さった矢を足で押し、更に深く刺す。


「ぎゃあああああ!!」


兵士の悲鳴が木霊する。


ふはははははははは!!


「…さぁ、時間はたっぷりあるし、どうやって吐かせようかなぁ?
ねぇ♪火焙りと爪剥ぎどっちがいい?」




「ドサドだー!!!」



「…ちなみに、あたしが期待してる吐くっていうは、嘔吐の事だから」


「そっちっ!!?」


あたしが、悪魔の笑顔で小太刀を鞘から抜いた瞬間だった。

それと同時に鉄の扉が開く。


「貴様ッ!!!
何をしている!!」

…今度は4、5人の兵士達。


…ちっ!
…全くうじゃうじゃと!

「…これで貴様も終わりだな!!」

さっきまで死にそうな顔をしていた兵士は、勝ち誇ったように笑った。


「フン、甘いわね!
あたしは名案を思い付いたわ!
…この危機を逃れる、ね!」

「な、何だとっ!?」

驚愕の表情の死相兵士。

「…それ、何か教えてほしい?」


あたしは得意気に笑う。


死相兵士は、素直に頷いた。


「…それはね…」


「…それは?」



ゴクリと唾を飲み込んだ音が聞こえた。














「全部、殺っちゃえばいいのよ!!」


グッ!と、親指を突き立てた。
















「名案でも何でもねぇーっっっ!!!!!!」

















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