黄昏の騎士

□昨日の戦友は今日の敵
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「…おい、指名手配されていた人物はどうなった」

ハーメンツに入ってすぐにいたふたりの兵士に、リオンが話かける。

「ああん?
…これはこれは客員剣士様でしたか?」

兵士は皮肉たっぷりにリオンを見る。

「…まさかこの様に早々のご到着とは」

「…貴様…!!」

リオンがキッと睨み付ける。

「リ、リオン様!
…そ、それに…えっと…」

「…つい先日客員剣士になったばかりのユウリだ」

戸惑うもう一人の兵士にリオンが説明する。

…なんか、先輩って感じだ。

…実際先輩だけど。

「…へぇ!
あなた様が城の天井をぶっこわした!
…全く、ヒューゴ様も何考えてんだが、敵国のスパイかもしれねぇってのによぉ」

「…あ「コイツはスパイなんかじゃない!」

あたしが反抗する前にリオンが庇うように前にでる。

「…こいつは、貴様なんかよりよっぽど優秀な僕の部下だ」

「…リオン」

『肩書きは一緒ですけどね?』

…シャル。

なかなか空気読めない言動だぞ、それは…。

「…それで、状況を聞かして?」

あたしが聞くと、皮肉じゃない方の兵士が口を開いた。

「先程宿から出て来た盗掘者達を我が軍の精鋭達が取り囲んでいます」

「…ですから、客員剣士様が出る幕などございませんでしょうな」

…こいつ、首にしてぇ。

…そう思いながら、金髪の青年に視線を移す。

「ルーティは心当たりがないそうだ!
何かの間違いじゃないか?」

…あれは、スタン?

良かった、無事そうで…。

「…貴様、なんとふてぶてしい態度だ!
もう許さん!」

「…あれが、ルーティカトレットとそのソーディアンか…」

リオンがボソリと呟いた。

『…あれは、アトワイトと、…それにディムロスも!?』

「…何?
まさか、別のソーディアンか?」

『…はぁ、僕、あの人昔から苦手なんですよ』

シャルからネガティブオーラが溢れ出す。

「…シャルが二本か 」

「…それはなにか違うでしょ?」

…リオンが初めて冗談を言ったような。


キィン!!


「…そんな……馬鹿な?

気付くと、スタン達が敵を蹴散らしていた。

「ふっ。
随分と頼りになる精鋭達だな」

…けっ!ざまーみろ!

「これは違う!
ここからが本領を発揮するところだ」

「ああ、貴様がそう言うのであれば、そうなのだろうな
…だが、たった三人のお尋ね者を捕らえられ無かったのは事実だ」

リオンは不敵に笑う。

「後は僕「達がやる!」

リオンの声を遮ってあたしが言う。

リオンは、露骨に嫌そうな顔をした。

…うわぁ…。

スタン達の下へ向かうリオンの後を追う。

「話をする気になったか?」

スタンはニッコリと笑った。

「…無様だな。
これ以上は見てはおれん」

「リ、リオン様!
…それに、ユ、ユウキ様」

「…いや、名前違うって!」

「ふっ」とリオンが悪戯っぽく笑った。

…このやろう…!

「…き、君はッ!?」

スタンはオバケを見るような目であたしを見る。

「…おひさっ!」

…やっぱり、スタンが持ってたのはソーディアンだったのか。

「ユウ、おまえは後ろのふたりをやれ、僕をコイツを片付ける」

「…初めて名前でよんだ!」

「…う、うるさいッ!」

…リオンは顔を真っ赤にした。

「りょーかいです!
一応肩書きを同じだけど、あたしはリオン様の直属だからね」

「やる気かッ?」

スタンがソーディアンを構える。

「事情も知らず正義の味方を気取る。
おまえ、どこのバカだ?」

…お、なんかカッコいいな、そのセリフ。

「バカじゃない!
スタン・エルロンだ!」

「…あいつが持ってる剣、まさか…!」

『『シャルティエ!!』』

ソーディアン組が声を揃えた。

『…………』

シャルはなんとも気まずそうな声を出した。

「セインガルド王国客員剣士リオン・マグナスだ」

リオンが自己紹介をする。

「同じく、セインガルド王国客員剣士、ユウリ・サエキだ!
まぁ、まだ成立てだし、実際は補佐みたいなもんだけど!」

「…ソーディアンが二本あるとは好都合。
まとめて持ち帰ってやる」

リオンは不敵に微笑む。

…喋る剣が三本も集まる光景なんて、なかなか見物だ…。

「…なんだと、この!」

「ふっ、腕ずくというのも悪くない。
ソーディアン同士が戦うとどうなるか、一度試して見たかった!」

そう言ってリオンはスタンに切り掛かる。

「…あんまし、女の子とは戦いたくないんだけど!」

小太刀を抜刀する!!

それを見て目の前のふたりの女性達も武器を構える。

「行くよ!」

あたしは、地面を強く蹴った。
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