黄昏の騎士

□リオンの苛立ち、マリアンの優しさ、そしてあたしの決意
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―セインガルド港―


「カルバレイスへ行きたい?
ちょうど前の船が出たばかりだ」

『間に合わなかったか!』

ディムロスはは苦虫を噛み潰したような表情だった。

…顔ないけど。

「その船に大きな荷物を乗せなかった?」

あたしがおっさんに聞く。

「ああ、やけにでかいやつを港の人間総出で運び込んだぜ」

リオン!

あたしが目で合図すると、リオンは頷いた。

「陛下とヒューゴ様に事情をご説明してくる
少し待ってろ!」

「あたしも行く」

スタン達を残して、私達はセインガルド城へ駆ける。


階段を二段飛ばしで駆け上がり、通行人を強引に躱して突進む。

「…ヒューゴ様!」

ヒューゴはまたしても、ダリルシェイド城の城門に立っていた。

そこが好きなのか?

「…ほう、その様子だとストレイライズ神殿で何かあったと見えるな」

…何か、嫌なオーラを纏っている。

『…スタン達にはヒューゴ様にも報告すると言ったけど、出来るなら会いたくない相手でしたね?』

…確かにそうだ。

「どうした、事情を話してみろ」

「ちっ……」

リオンは舌打ちする。
「…神の眼を奪った犯人を取り逃がしました。
現在犯人はカルバレイスへ向かっているようです。
なので、船を一隻用意して欲しい所存で参りました」

『…今の敬語なんかおかしかったですよ』

シャルうるさい、略してシャさい!

「犯人に逃げられてしまったのか、全く恥をかかせてくれたな」

「何……!」

小声でリオンは反抗する。

…苛ついてるなぁ。

「…では、私が陛下に取り合ってすぐに船でも用意してもらおう」

「結構です。
私達が直接陛下へ申上げます」

リオンはキッとヒューゴを睨む。

「任務を失敗したおまえ達が参上した所で陛下は何と思われるか?
さらに、事態はセインガルド国内だけの問題ではなくなっている」

「…いえ、私ひとりで陛下を説得してみます!」

…リオン、ムキになってるな…。

「…それであれば構わないが…。
本当に私の助けは…「何度言わせるんだ!
あなたの助けなど結構!
僕はあなたに頼らなくても、この程度の事ひとりでやれる!」

『ぼ、坊ちゃん、何て言い方を…』

「…くっ」

リオンは、城の中へと走っていってしまった。

「リオンッ!!」

あたしも彼を追いかけて城の中へと足を踏み入れた。
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