黄昏の騎士
□第四の意思
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あたしが甲板に出ると、リオンはシャルとなにやら話し込んでいるようだった。
あたしは近づこうとして足を止める。
『…坊ちゃんは、ルーティに自分が実の弟だと伝えないんですか?』
…え?
あたしは咄嗟に建物の影に身を隠す。
…リオンが、ルーティの弟?
「…僕はアイツの事が好きじゃない。
だから伝える必要もない」
『…でも、ほら、以前ヒューゴ様がルーティを見殺しにするような発言をした時…坊ちゃん、怒っていたじゃないですか?』
…確かに、あの時リオンは怒っていた。
…ぐっ!
あたしは拳を握る。
「…アレは、あの男に対して怒りを覚えたんだ。
…なんというか、アイツの僕に対する本心を垣間見たと言うべきかな」
『…あれ?』
あたしはリオンの下へダッシュし、リオンの前で急ブレーキをかける。
「…おまえ、どうして?」
「…ごめん!」
…潔く頭を下げる。
「…盗み聞きするつもりはなかったんだけど聞いちゃった」
「…おまえ」
「最初は、何も聞いてない振りして立ち去ろうかと思ったけど、…やっぱり、親友にウソつくのはよくないって思ったから!」
そう言うと彼は、小さく笑った。
「…改めて思うが、おまえは変わってる」
「…何よ、そのあたしが脳内のネジが外たクソやろうみたいな言い方!」
『…全く、そんな事言ってないですけどね?』
…細かい事は気にすんなシャル。
「…別に聞いた事に関しては得にない。
…ただし、他の奴等に不用意に言ってみろ、その時は海に沈めるからな」
…恐っ!
「…了解です」
…敬礼をするあたし。
『…ふたりとも、なんかディムロスが呼んでるみたいです。
船室に戻りましょう』
へぇ、ここまで繋がるんだ。
「…うぷ」
いきなりリオンの顔色が悪くなる。
『ああ、そういえば坊ちゃんって乗り物酔いが酷いんでしたっけ?』
「……乗り物に弱い?」
…リオンはしまったという顔をした。
…ニヤ
「さてと、じゃ船室に戻ろうか?」
無理矢理、エミリオを引っ張る。
「…貴様…!」
…弱ってるリオンなんか、ポケットのないドラ〇モンよ。
「ほら行くわよ、ちっこいの」
軽く悪態ついて、無理矢理船内へ引っ張り込んだ。
『坊ちゃんを連れて来たよ』
「リオン、顔色がよくないけど、大丈夫か?」
クックックッとあたしは笑う。
「…………」
リオンに睨まれた。
『…これから、グレバム追跡にあたり、お前達に提案がある』
『実はこの近くの海域にもう一本ソーディアンが眠る場所があるんです』
『性格には、海中に沈んだ大昔の輸送艦の中ね』
ソーディアン組が順番に話す。
「ソーディアンの名はクレメンテ。
…ちょうど、今、ユウが空いているしな」
「いや、あたしはパス!」
「は?(一同)」
全員から疑問符が見えた。
見える!見えるぞ!
「…ソーディアン持つと、常に一緒じゃないと駄目じゃん!
…それはプライバシーの侵害になるのでは?」
「…貴様はバカか?」
「まあ、とりあえずいってみましょ!
…ユウが使わないなら今度こそ、売り飛ばすって手もあるしね」
さらりとがめついよ、姉め。
「…その輸送艦とやらの正確な位置は分かるか?」
『分かる』
「よし、ならば向かおう」
『ありがとう、ございます、坊ちゃん』
「四本目のソーディアンか。
楽しみだな、今度はどんなんなのかな?」
…多分、堅物、姉さん、ネガティブと来たから…。
「スケベェな奴とか?」
あたしがいうとソーディアンメンツが固まった。