黄昏の騎士

□砂漠の島
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「リオン、よく来てくれた!」

…バルック基金で出迎えてくれたのはバルックという気さくそうな男だった。

「…街の人間にここの場所を聞いたのか?」

「いや、自力で辿り着いた。
この街の人間は礼儀がなっていないな」

「…あんたがそれを言う訳?」

ギロリと睨まれるルーティ。

…馬鹿だなぁ。

「マリー見て!
向こうにかわいい物があるわよ

「どこだ?」

ルーティ、それで誤魔化すつもりか?

そして、ルーティに見事に利用されるマリー。

「カルバレイスの人々はよそ者に対する警戒心が強いからな。
長年の歴史に由来する行動だよ。
あまり気にしない事だ」

…そう聞くと無理矢理でも仲良くなりたくなるのはあたしだけかな?

「歴史とは……?」

「…カルバレイスの先祖は、天地戦争の敗者なんだよ」

「…おお、よく勉強しているね?」

感心したように頷くバルック。

…照れる。

「…いや、知り合いになんかやたら詳しい奴がいるんですよ」

ルーティが呆れた様子で言う。

「…どれだけまえの戦争か知らないけど、いつまでもそんな事気にされてもねぇ」

「…それは勝者の論理だな。
敗者には敗者の考えがあるのだ。
現にカルバレイスの人々は他国に比べて生活水準が低い。
私がこのバルック基金を運営しているのはここの人々の暮らしを楽にするためだよ」

「バルックさんって凄い人ですね?
そんな考えが出来るなんて。
俺、こんな場所がある事すら知りませんでした」

スタンが尊敬のまなざしでバルックを見る。

「なに、言うまでは安いものさ」

バルックは、苦笑いを零した。

「…さて、それはそうと、本題に移ろうか?
ヒューゴ様から連絡も受け取っている。
…なんでも、神の眼とやらを、探しているそうだな」

「こころ当たりとかは?」

「…私も調べてはみたんんだが、今のところ手掛かりはない。
何か情報が手に入ったら知らせよう。
それまでこの街にいるといい」

「分かりました。
お願いします」

スタンは頷く。

神の眼はデカいし、何かしろ情報があってもおかしくない気がするけど…。

「任してくれたまえ。…それにしても驚きだな」

「なにがですか?」

スタンが首を傾げる。

…大型犬だな、スタンって。

「リオンが、同年代の誰かと仲良くしているところを見るのがだよ」

スタンはニッコリ笑う。

「仲間同士ですからね!
そりゃ仲良くもなりますよ!
な、リオン」

んで、リオンはキッと睨む。

「人聞きの悪い事を言うなバルック!
僕はこいつらと仲良くなんかしていない!!」

「…そんな言い方ないだろう?
これまで一緒にやって来たじゃないか?」

「命令されて仕方なく、だ。
本来なら僕達だけで充分だった」

…達ってことは、あたしも含まれてるのかな?

おぉ、なんか嬉しい!

「…リオン」

ぐったり落ち込む金髪。

「仲間だの仲良しだの、虫酸が走る。
いいか?
もう一度言っておくぞ。
僕はおまえのように図々しくて能天気で馴れ馴れしい奴が大嫌いだ!」

そう言い残して、リオンはバルック基金を後にした。
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