Dream

□唯、それは
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「そんなに嫌がることか?」

たかがキス、少しの間だけ互いの唇を合わせてりゃいーんだろうが。
若き隊長はにやりと口許を歪めた。

「貴方とだけはしたくなかったんです」

吐き捨てるように発言すると、イザーク・ジュールは一瞬面食らったような顔をしたあと吹き出した。

「それはそれは…」
暴言さえ甘言の如く理解した彼は愉しそうにわらい、私の腕を掴む手を緩めずに視線を合わせてきた。

「俺は悪いことをしてしまったようだな?」
「心にもない事を仰らないで下さい、それから手も離して下さい」
「いやだ」

まさに暴君と呼ぶに相応しい横暴さと無駄な素早さで拒否した彼は相変わらずその青い目で私を射抜く。

「…こっちを見ないで下さい」
「落ち着かなくなるか?」


その通りだ。

分かってるならさっさとその手を離せと苛立ちを込めて睨みつけるとほぼ同時、彼は私を抱き締めてまたキスをした。

たいした抵抗もできないまま、その至近距離の美しい顔に、口付けの技巧に酔わされ、気付いたときには唇はかすめる距離に離れていて私は恍惚とあの青い目を見ていた。

「もっと乱してやろうか?」
「…っ、戯れが過ぎます」
「戯れ?ふん、まだまだ戯れとも呼べんぞこの程度…」

彼が不穏な光を含んで私を見るものだから、疼くものが益々耐えられなくなるのがわかった。
目が、反らせなくなるのだ。


「そんな目で見ないで下さい」
「は…なら、貴様が目を閉じてれば良いだろ」
「、」
「…俺から目を反らせないのか?」
「その煩い口を閉じて下さいっ…!」

イザーク・ジュールは私の焦りにいよいよ耐えられないといった風にこれまた愉快そうに目を細めた。ご丁寧に意地の悪そうな笑みを浮かべながら。

「教えてやろう」


唇が触れる寸前、隊長は呟いた。

「お前…それは俺に惚れてんだよ」


荒々しい君の口付け、その三度目の正直

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