Dream

□かわいくて我慢できないの
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「イザーク…良い?」

ゆっくり、ゆっくりと。
それは焦れったいくらいの速さが丁度良い。恥ずかしそうに両腕で顔を隠すイザークは、蚊の鳴くような声量で知らん、と言った。

いつも以上に愛しい。私は震える手でイザークのブラウスのボタンを1つ外した。そしてもう1つ。また1つ。

ボタンを全て外し終えて、見るとイザークは少し泣いていた。頬を染めて涙を浮かべるイザークの横顔に一瞬全てを忘れかけながらも私は彼の美しい腹筋に触れた。
行為は今さらやめられないのだ。

「大丈夫…?」

今更ながら罪悪感はあった。
下になってもらって前と後ろの童貞を頂こうと云うのだから。ここまで来るのには私の人並みならぬ努力と根性あってこそで、本当に本当に大変だった。

腹筋の筋をなぞると、イザークは緊張で体を固くして、そのたび震えている。そんな様子に、私はまるで本当の女の子の処女を奪うかのような高揚を覚えていた。

ブラウスを左右に開いてその白く傷ひとつない肌を見つめる。しばらく見ていると、相変わらず頬を染めたままのイザークが耐えられなかったと見えて肌を隠そうともがきだした。私は抵抗が激しくなる前に、出来るだけ優しく、だがある程度存在感のある力を込めて彼の両手首を掴んだ。優しく掴まれたことに案の定驚いたイザークは遠慮がちに私を見上げ、そして恥ずかしそうにしながらようやく腕から力を抜いたのだった。

「優しくするから…ね」

囁きながら、掴んだ手首を外側へ広げさせる。お互いの距離が近づいて、うかがうようにあの綺麗な青い瞳を覗けば、やはりイザークは涙を溜めていた。

(かわいい…)

たまらず唇を合わせるだけのキスをすると、途端、彼の両手が私の手から逃げ出して代わりに首周りへ、ぎゅうっ、と抱きついてきた。
薄い唇を開けてイザークの方が私を誘った。


(死ぬほどかわいい…)

目を閉じることを忘れていると、私の熱視線に気づいたのかイザークも薄く目を開いた。みるみる羞恥に染まる瞳に思わず意地悪く笑って、今度は私が彼の口内を攻めた。

「ふ、ン…ん…ァ」

かわいい喘ぎ声。
溜まっていた涙を幾筋も溢していくイザークの、きつく閉じられた睫毛が震えるさま。それだけでエクスタシーを得られそうな私の胸の陶酔感が分かるまい。


それからそれから。

その日は結局、彼の上半身への愛撫とキスのみで愛を確かめあった私たち。お互いまだまだ綺麗な体のまま、ぐっすり快眠を貪ったのでした。

(ああ、私は彼の純粋さに負けました)

fin.

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