夢幻紳士

□歪んでたのか
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ばらばらばら ばら
夢幻魔実也の手から黒真珠がまるで雨粒のように落ちた。
人にそんなことされたのは初めてで、ましてやあの夢幻氏が
あたしの首からさがるネックレスをいきなり引き千切るなんて、意味がわからない。
床に散らばった黒い粒。あたしのお気に入りだったのに。
彼は今間違いなく苛立ってる。無表情な彼はわたしと目を合わせると呟いた。
「気にいらん」
え、と呆気に取られるあたしを一瞥すると夢幻氏は床に転がっている一粒を
取り上げて、わたしの目の前に突き出した。
「男の匂いがする」


それって嫉妬?


(そう訊いたら酷くサディスティックに貌を歪めた夢幻紳士)
 

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