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□―第二章―
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世界は素晴らしくなんか無い。
世界は綺麗なんかじゃ無い。
だから夢みてた。
いつか、誰かが私を救ってくれるって。

きっと幸せになれるって。



生ぬるい風が私を撫でた。目の前に広がるは、荒野。すがすがしい位の澄みきった青い空。

――……?

ぼんやりとしていると、後ろから声がかけられた。

「誰なのかな?」

それはこっちのセリフだと思う。アンタこそ誰だよ。

その人物は、見るからに怪しい格好をしていた。
どこぞの王子様って感じの、至る所がヒラヒラしてる、ちょっと高級そうな純白の服。
服と言うより、衣装に近い。
怪しいのは格好だけでなく、装備品までも怪しすぎる。
―――日本刀。

…王子様なのに。
自分の身の危機感なんてモノはこれっぼっちも湧き出てはこなかった。

「君は誰?」

王子様はもう一度繰り返した。

「……潟山 茶廻(カタヤマ サエ)」

何となく拒否権は無い様な気がして、渋々私は名を名乗る。
普通、自分から名乗るのが礼儀じゃ無いのかしら。
相手が名乗るのを待っていると――

どん!!!!

と突き飛ばされた。
ズッシャァァ!と、荒野を滑る。
剥き出しになっている箇所に血が浮き出る。

………。
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