A

□【第四話】
1ページ/4ページ




ばん、と男が吹き飛んだ。

「……がっ…!?」

訳の解らぬままに飛ばされてゆく。

「―――テル」

青年が優しくテルの名を呼んだ。

「……な、に…?」

「…呼んで」

手を取り、甲に軽くキスをする。

「………!?」

「《レイフィア》。それが僕の名……」

耳元で、囁く。
甘く。優しく。

「…呼んで…」

「…レイ…フィア…?」

「イエス、マスター?」

「―――私を…いいえ…、私の…援護をしなさい。私の邪魔をする者は――たたっ斬るまでよ」

きんっ、と抜刀する。
日光を受けて、それは鋭く煌めいた。



瓦礫にまみれながら、まさか、と男は薄く笑った。

「……まさか、彼がそうだとはねぇ…。――おい、ローワン共」

今だテル達を囲むように屋根の上に立ち尽くしていたローワン達が、ぴくりと反応した。

―――そいつらを、《狩れ》。

「「イエス。マスター…」」

機械的な声。
ぶつぶつと、何事かを唱える。

「「狩・レ!!!」」

魔法陣から次々と飛び出して来る《狂った大鎌》。
次へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ