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□【第四話】
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ばん、と男が吹き飛んだ。
「……がっ…!?」
訳の解らぬままに飛ばされてゆく。
「―――テル」
青年が優しくテルの名を呼んだ。
「……な、に…?」
「…呼んで」
手を取り、甲に軽くキスをする。
「………!?」
「《レイフィア》。それが僕の名……」
耳元で、囁く。
甘く。優しく。
「…呼んで…」
「…レイ…フィア…?」
「イエス、マスター?」
「―――私を…いいえ…、私の…援護をしなさい。私の邪魔をする者は――たたっ斬るまでよ」
きんっ、と抜刀する。
日光を受けて、それは鋭く煌めいた。
瓦礫にまみれながら、まさか、と男は薄く笑った。
「……まさか、彼がそうだとはねぇ…。――おい、ローワン共」
今だテル達を囲むように屋根の上に立ち尽くしていたローワン達が、ぴくりと反応した。
―――そいつらを、《狩れ》。
「「イエス。マスター…」」
機械的な声。
ぶつぶつと、何事かを唱える。
「「狩・レ!!!」」
魔法陣から次々と飛び出して来る《狂った大鎌》。