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□【第八話】
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――悪夢はいつか覚めるモノ。
そうでしょう――?
暗闇の中、一人がワラった。
「…簡単な結末なんて、退屈さを増すだけだわ」
それはまるで、独白の様で。
「…せっかく、壊してあげたのに……。まぁ、結果的には…不満ながらも、上出来かしら…?」
口元に弧を描いて、くすくすとワラう。
「――――最後にワラウのだーあれ………」
夢の中で、幾度も繰り返される情景。
認識したくない事実と、認識しなければならない事実。
結末は、きっと、決まっていた。
これは、誰かが、何かが仕組んだ事だから。
ならば。
「……たたっ斬るまでだわ……」
仇打ちなんて、そんな綺麗なモノではないけれど。
こんな事、あの子は望んでいないでしょうけれど。
――天寿を全うできなかったあの子に、人として終わりを告げられなかったあの子に、他に何がしてあげられるというの。
軋む身体など無視して、テルは勢い良く起き上がった。
其処には、見慣れた“モニター”の山。
幾度も思い返される悲劇。もう戻らない、いつかの喜劇。
日常。
今は亡き、愛しき片割れ。