賜りし幸せ

□とある雨の日
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「やっぱりルークに来てもらった方が良かったかしら?」
 
買い出しの量は少しだと思っていたけれど、意外に量が多く、両手が塞がってしまった。
傘を肩だけで支え、何とか前に進む。
けれど
 
「きゃあっ!?」
 
突然の風に真正面から雨雫がぶつかり、肩で支えていた傘が吹き飛ばされた。
 
「ど、どうしよう・・・?」
 
傘は遥か遠くに吹き飛ばされ、拾いに行くより宿に向かった方が早い、かな?
一旦、帰りましょうか。
 
「あ、買った物が濡れちゃうわね。
急がないと!」
 
買った物が濡れてしまわないように、私は荷物を庇いながら風雨の中を走った。
「うわ〜、びしょ濡れじゃんティア、風邪ひいちゃうよ?」
 
「そうかもしれないわね、シャワーを借りて来るわ」
 
私は荷物をアニスに預け、シャワールームに向かった。
 
「あ、ティア、服だけど洗濯に出しちゃったよ?」
 
「じゃあ・・・私の着替える服が無いって事?」
 
「あはは・・・どうしよっか?」
 
服が無いなら、今の服をもう一度着るしか無いわね。
 
「俺の服を貸すよ」
 
階段の上には、いつの間にかルークが居た。
 
「ルークの服を・・・?」
 
「ああ、サイズも調度いいだろ」
 
ルークの服を着る、それを考えるだけで頬が朱くなってきた気がした。
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