光の青葉

□傷跡
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練習始まったかなぁ…
あのメニュー使われてるのかな…
一人でいるとやることなくて色々なことを考えちゃう
まぁ、主にバレーだけど 
あぁでも…


「………もうできないのか…」


そう思うとなんで俺はバレーのことを考えてるのか馬鹿馬鹿しくなる
本当だったらもうできないんだし部にいる必要もない
っていうか主将でなんかいちゃいけない
今すぐにでも辞めなきゃと思う
なのに


「…………クソッ」


俺からバレーを抜いたら何も残らない気がする
学校での居場所もなくなる気がする
だから主将という一番上に立って辞められない状態
にして安心してる
あぁ、本当に


ズルくて汚い


その時、少し控えめなノック音がした


「どうぞ」


扉に背を向けた状態で座っていた俺は振り返った。


「ちわす…及川さん」


飛雄だった


「…おま……!…合宿は?烏野は今日からでしょ?!ってか何で場所知って…」


「…昨日のうちに及川さんのお母さんの所に行ってきました」


「お母ちゃん……」


誰にも言うなって言ったのに…


「…でも意外ッス……及川さん、東京のこんなでっかい病院にいたなんて……」


飛雄はキョロキョロと病室を見ていた
一番最初にコイツに見つかるとは…


「で、何しに来たの?」


「ッス…今日は国見に頼まれて来ました」


国見ちゃん?
なんでそこで国見ちゃんなのさ
ってかこいつら…


「連絡取り合ってたんだ…」


「はい、この間もベニ○ランド行ってきました」


あ、意外と仲いいんだね


「で、聞いたんですけど及川さん、毎日メニュー考えてるんですか?」


それも国見ちゃんか


「そうだよ、岩ちゃんからのメールで部員の様子聞いてお母ちゃんにメールしてそれをコピーしてもらって岩ちゃんに渡してもらってる」


ってことはちゃんとみんなこなしてくれてたんだ
良かった  


「………岩泉さん」


「…岩ちゃんが何?」


「岩泉さんの様子は聞いてますか?」


岩ちゃんの様子…?
そういえば岩ちゃんに様子聞いてるからあんまり送って貰えてない…?


「やっぱり……」


すると飛雄はエナメルをゴソゴソやり始めた
出てきた藍色のスマホはまだ新品らしく、飛雄が俺に国見ちゃんとのやり取りを見せるまで起動して5分はかかっていた
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