光の青葉

□ニセモノ恋愛【岩→及影】
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インハイで俺たちに負けた飛雄は連絡しにくくなったのか、毎日のラブコールが週1に減った

最初は悲しかったけど、まぁ、仕方ない


『あ、ねぇ飛雄ちゃん』


「………何スか」


……及川さんは俺が合宿中だと言っても電話は欠かさずかけてくる
だから居残りの時にも手の届く範囲に携帯を置いておく

あの人にとって俺の時間とか都合とかは関係ないから


『今何してんの?』


「自主練ッス…風呂はまだなんで」


『…ちょっとは休憩しなよ、身体壊すから』


珍しく及川さんが俺のことを心配した


「……そーゆー及川さんは何してるんですか?」


『んー?岩ちゃんと作戦会議中だよ』


殴られはしないだろうか
まぁ岩泉さんは何だかんだ一番、及川さんのことを分かっている
俺よりも


「おーい!影山ァ!!3対3やるけど来ないかぁ?!!」


体育館の扉から日向と月島が俺を見ていた
月島もいるから第3体育館での練習だろう
あの音駒のリエーフはいないみたいで多分、俺はそいつの代わりに呼ばれたんだろう


俺は頷いてボールをしまうと二人のあとを付いていく
勿論、今切ると及川さんがうるさいから通話中のままで


『どーお?この前のアドバイス、役にたってる?』


及川さんの言うアドバイスってのは日向との速攻の話だろう
第3体育館の扉に手をかけた所で俺は一度、携帯を持ち直す


「今は速攻自体をコーチに止められてます。日向が空中で戦えないから」


「俺のせいかよっ!!」


『フハッ…チビちゃんだけのせいじゃないんじゃないのぉ?飛雄ちゃん』


「ヴッ………」


「さっすが大王様!!」


「うっせぇ!お前のせいでもあんだろボケェッ!!」


『ちょっと飛雄!!叫ぶなら携帯耳から離してよ!!』


「あ、すいません…でも及川さんのおかげッス、あざす」


「王様、そろそろ始めるんだから恋人とのラブコールは終わりにしてくださーい」


月島が嫌味っぽく言った
俺は舌打ちだけしてそれじゃあ、と電話を終了しようとしたが及川さんに止められる


『愛してるよ、飛雄ちゃん』


「ッス、失礼します」


俺は携帯を体育館のステージに置いた
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