光の青葉
□すれ違い【岩泉・及川】
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「かっ……は……うぇっ…ゲホッゲホッ……ごめ…岩ちゃ……ゲホッ…」
「喋んな…いいから吐け」
ゴミ箱に頭を突っ込む及川の口から溢れるのは淡い水色の花
それは留まることを知らず
及川の口から溢れ落ちる
そう
及川徹は
『花吐き病』
である
及川は誰かに恋をしている
ずっと昔から
俺はそれが誰なのか知らない
俺はいつも
及川の口から溢れる花がゴミ箱に棄てられるのを見ているだけだ
それでいい
及川が好きな誰かへの想いが
そうやってゴミ箱に消えていくのは少し、嬉しかった
けれど
及川は全て吐き終えると悲しそうに笑う
溢れんばかりの花を見て
「……ごめんね、岩ちゃん」
今日もそうやって笑うのだ
「別に…とっとと棄てて来いよ」
「…」
「あ?何だよ」
「…何でもなぁ〜い♪」
そうして及川はゴミ箱を持って階段を降りていく
一輪の花が机の横に落ちていた
俺はそれを握り潰す
及川が好きな誰かを潰すように
あんなに苦しむなら…
「…俺にしとけよ……」
俺の口から淡い黄色の花が落ちた