光の青葉

□夢喰い人と浄化人【及川・岩泉】
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俺が及川と出会ったのは運命なんだと思う
現に俺たちは互いに必要な存在として認識している
及川は俺が居ないと死ぬから俺が必要だ
俺は及川が居なくても死ぬことは無い
けど俺が及川が吸いとった夢を浄化しねぇと死ぬ奴もいるからやっぱり俺も及川が必要なんだと思う


『久しぶり一ちゃん』


初めて俺が及川に会った時、及川は俺にそう言った







「金田一〜?今日は顔色悪いね!何かあった?」


「あ、及川さん……いや、なんか昨日変な夢見て…正夢になりそうってゆーか…現実味があったので…」


「大丈夫だよ、正夢にはならないから!滅多にないよ!どんなにリアルな夢でも…ね」


だから心配しないで、と及川は金田一の背中を押した
金田一は妙に説得力のある及川の言葉に関心したのか及川さんカッケー!、と呟いた


「…あれが理由か」


「アハハ…俺の周りそんなにモヤモヤしてた?」


「…いつも以上にな」 


朝、及川は毎日のように黒いモヤを引き連れている
それは及川が喰った夢だ
汚い夢
恐い夢
悪い夢は全てそうやってはっきりしないモヤモヤしたものに見える
今日は一段と黒かった
人が死んだ夢を喰ったりするといつもより黒い
金田一が見たのはそういう夢だろう


「…そんなに嫌な夢だったか」  


「!!………そうだね…俺たち皆が死んじゃう夢…」


及川は悲しそうに笑う
そりゃそうだ
こうやって及川が喰った夢は全部、及川の脳内で再生される
自分の死ぬ夢を見て気持ちのいい思いをする奴なんていないだろう


「……それで今日は顔色が悪いのか」


「え?!嘘…朝岩ちゃんに浄化してもらったのに?!!」


「俺が浄化できるのは夢だけだからな…記憶は消せない……それくらい嫌な夢だったんだろ?」


「……………うん…多分、金田一も今日は部活、来たくなかったと思う」


「…」


「練習してたら包丁持った人が出てきて一人ずつ殺すんだ…最初に監督と溝口クン……次にマッキー、わたっち…国見ちゃん、矢巾…まっつん…狂犬ちゃん、岩ちゃん…俺…死んでる皆に何度も何度も包丁つきたてて…最後に残った金田一にそいつは笑いかけてた……」


確かに…
こんな夢見たら顔色が悪くなる訳だ


「でも違った」


「違ったって何だよ」


「夢の終わり方がいつもと違ってフワって消えていく感じだった」


及川が言うには夢はいつもテレビの電源を消すみたいに一瞬で消えるらしい
それがフワってゆっくり消えていったそうだ

昔、じいちゃんに聞いたことがある
夢喰いの夢の終わりがはっきりしない時、その夢には続きがある
その続きを喰わない限り、その夢は無くならない…と


「……マジかよ…!!」


今になって思い出すとか遅すぎだろ!
やべぇな…もう部活がはじまっちまう…


「いわち「及川、落ち着いて聞け」ぇ…うん」 


俺も一度深呼吸をした


「……金田一の夢には続きがある」


「…続き?」


「あぁ…それを喰わないと…正夢になる」 


「…?!!……それって…!!」


「あぁ…もしかしたら金田一の夢は他の誰かが見た夢を置き換えた夢かもしれねぇ…」


「夢移り…だっけ」 


「おぅ…早くしねぇと移した奴が危ねぇ…」


「………多分、飛雄だ」


「飛雄って……影山か?!」


「うん、俺今までも結構な回数で飛雄の夢を喰った…でもこの前喰べた夢は変だったんだよ…飛雄が何故かここに来たところで今回みたいにフワって消えてったんだ」


「…烏野に行くぞ…」


「…うん」
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