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□アイツが消えた金曜日
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「ギャアアァァァァ〜ッ!!」


カチカチとブレーキを引いても反応なし
足の裏で止めようにもサかが急すぎて


「止まれなぃぃぃぃぃ!!」

――

「え…ひ、日向ぁ?!なんでそんなボロボロなの?」


菅原さんが焦りながら俺の傷の手当をしてくれている
焦りすぎて頭に貼られた湿布をはがしながら
俺は詳細を説明した


「……つまり、日向の自転車のブレーキが利かなかったんだ」


「はい!でも全然大丈夫です!!走って帰りますから!!」


「ギャハハハハッ!なんだ日向、その顔!真っ黒だぞ!!」


「うぇぇぇぇぇっ?!あ、ありがとうございます…」


受け取った柔らかくて真っ白なタオルに顔をうずめると、すぐに黒くなってしまった


「ま、明日は部活も学校も無いしね…ゆっくり休みなよ」


菅原さんが俺の頭を優しく撫でた


頭が少し痛いけどあんまり気にならない


「はい、その分、今日は影山とたくさん速攻の練習しなくちゃ!!」


「…影……山…?」


「し、翔陽?お前、何言って…」


「へ?」


「影山って誰だよ」


「え?」


「編な夢でも見たんじゃないか?」



「そんな訳な…俺と同じ一年の!!」


「いや、バレー部には日向、月島、山口しか入部してないぞ?」


「キ、キャプテンまで…」


なんで皆影山を知らないんだ?
俺がおかしいのか?
でも
俺の手にはあの速攻の感覚が残っていた


「…今日はお休みします!!」


「おい!日向っ!」


俺はまだアイツと会って間もない
だから


あの人に聞くしか―――。
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