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□月島君の悩み
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一年の頃、春高で優勝した
二年では二次予選で敗退
そして引退していった主将、縁下さんから僕は主将に選ばれた
嫌だった
反対だった
だって、僕より山口の方がきっとうまくまとめられるから
それでも、山口も日向も影山も僕が主将になることを当然のように了承した


そして三年になった
2年前の話とはいえ、春高で優勝したことは新入部員を2ケタにするひとつのきっかけだったんだと思う
人数が増えれば自然とできる練習も増える
だから昔よりは色々なメニューができると内心、ホッとしていた


僕の主将が定着するまでは三年全員で下級生の面倒を見ることが決まったから放課後には毎日、部室で三年と主力2年で会議を開いて話し合いをする


「山口、帰ってていいよ」


「うん!またねツッキー!!」


体育館の鍵を閉めにいくために部室前で山口と別れた
谷地さんともう一人、2年のマネージャーはもう帰っただろうか


「偉そうによ…なんなんだよ本当に」


愚痴が聞こえる
聞き覚えのある声
もしかしたら一年かも


体育館の入り口を開けようと手をかけたところで僕は止まった


「なんか主将、いっつも上からだしよ!」


「ふざけんなって感じだよな」


「主将、怖いしやる気なくなるんだよな……楽しくない」


「ってか、山口さんか日向さんの方が主将っぽいよな」


「分かる、山口さんとかいいよな」 


中に入れない
お前らに僕の事がわかってたまるか…
責任とプレッシャー
やりたくてやってる訳じゃない
苦しいし、辞めたい
気づけば、足は家へと向かっていた


「…なぁ、月島、今日どしたんだ?」


副主将を務める影山がステージの端で後輩の動きを見ていた僕に話しかけてきた


「何が?」


「いや…何もねぇならいいけどよ……」


「あっそ…ラスト!サーブ100!!」


影山を遠ざけるため、時計を見て最後の練習メニューに切り替えると、案の定、コートへと走って行った


“楽しくない”


ガタンッ


「月島っ!!」


「ツッキー!!」


「つ、つつつつきしまぁっ?!!」


「落ち着け日向!ボケェ!!」


やっぱ、調子よくねぇじゃん!


「ヘイヘイヘーイ!……ってツッキィィィィ?!」


「月島っ!」


「っ蛍!!」


「へ、あ?赤葦さ「影山」はい!」


「木兎さんに保健室の場所案内し「俺がします!」じゃあ、山口くん、お願い」


何故か突然やってきた三人は俺たちより冷静だった


山口と木兎さんが体育館から出ていった後、谷地さんも後を追って行った


「し、集合!!」


副主将としてなんか集合させた方が良い感じの空気だったからとりあえず集合させる


「ぇ、お、俺どうしたら…」


日向はまだ慌ててるし


「じゃあ、そこに正座してくれるかな」


あくまでも優しい口調の赤葦さんの命令に戸惑う1、2年に再び号令


「正座!」


「「「ウス!」」」

 
「さて……」


黒尾さんと赤葦さんはにっこり笑った


「ウチの大事な蛍ちゃんに何したのかな?」


「……」


誰も何も言わない


「魔女裁判しますか?」


「赤葦、それじゃダメだろ?目ん玉くりぬくか…爪剥がすか……あぁ……指切り落とす?」


「…拷問っスか」


「さっすが、影山くん」


黒尾さんはニヤリと笑った
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