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□この日を忘れないために【月影】
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2014年11月11日
世間ではポッキーの日と騒がれる日

小さいころから母に『1のつく日は何かが起こるから気をつけなさい』
なんて言われてたけど、そんなのは忘れていた
明日っていうものが変わらず来るものだと
昨日と変わらず平凡な1日が明日も始まるんだなんて考えながらその日は眠った

次の日

僕は授業中、眠り続ける彼の姿が無いことに気が付いた
ただの休み 
にしては三者面談中のこの期間は部活が長い
部活のために学校にきている彼がこないはずない

そう思いながら午前の授業を済ませた昼休み
ある話を聞いた


『飛び降り自殺』


なんでもマンションから飛び降りて死亡したとか
しかもこの近くのマンションだ
確かに昨日の夜はサイレンがうるさかったな


「それにアイツ…俺に言ったことがあるんだ」


神妙な顔を上げた瞳は不安で染まっていた


「俺、三学期にはいねーからって…」


その時、もしかしてなんて考えが頭をよぎった
それを口に出してみたものの、飛び降り自殺が本当なのかどうかも分からないし、僕の勝手な憶測だろう


また次の日
その噂は学年じゅうに広まった
彼の名前を聞いても“誰?”って顔をする奴も少なくない
なんとなく、僕が確信したのは担任の声が震えていたから
出欠確認を淡々と済ませるいつもの感じじゃなかった
でも、いつも通りに手紙を配っていくからまた頭の片隅においやった
2時間目の途中、だったかもしれない
現代文の授業中だった僕たちのクラスに担任が入ってきた
学年主任、担任もいる
何事かと騒ぐ担任は僕らに一言
『ご家族から連絡があり、このクラスの生徒が亡くなりました』
少し堪えたその声を脳内で変換しようにもショートして分からない
空いている机はひとつだけ
そのネームプレートには
『影山飛雄』
そのあと、担任が何か話していたけど、覚えてない
ただ、名前の呼ばれないその『生徒』が誰なのか、はっきり言ってほしかった
自ら命を絶った
本当に?
第一、なんで何も言ってこなかった?
何も聞いてあげなかった?
なんで………



死んだの?

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