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□気付いたら知らない所!!【第三体育館組+影山+阿吽】
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「・・・なぁ月島」


「・・・何」


「・・・・・・どこだよここ」


「僕に聞かないでくれる?」


「ってか影山さっきから何してんの?」


「・・・異界に飛ばされたな」


「「「「はぁぁぁぁぁぁっ?!!」」」」


小さな神社の社で男子高校生の叫び声が木霊した。
烏野高校排球部と書かれた真っ黒なジャージを着たDKが3人
金髪メガネの月島
明るいオレンジの髪の日向
真っ黒い髪の影山
真っ赤なジャージ、NEKOMAと描かれたジャージを着ているのは
主将の黒尾と一年のリエーフ
白っぽいジャージを着ているのは梟谷のバレー部員
主将の木兎と副主将の赤葦
その中でも冷静なのは影山と黒尾くらいだった


「あーやっぱり?」


ニヤニヤ笑いながら黒尾は辺りを見渡す
背後には社
正面には鳥居
後は木々が生い茂る森だ


「ちょっと王様どういうこと?!!意味わかんないんだけど!!」


いつもの月島では絶対に有り得ないような大声をあげている彼を見て影山は冷静に注意した


「お前、狙われたくなけりゃ黙っといた方がいいぞ」


そしてまた地面にガリガリと木の枝で何かを書き始めた影山に月島は舌打ちした
となれば残るは・・・


「アンタも知ってるんですよね?どういうことですか?」


ニッコリと営業スマイルを浮かべた月島を見て黒尾は胡散臭い笑みを返して言った


「ここは俺たちの世界じゃないってこと」


意味は誰にでも分かるような簡単な答えだった
しかし、それで納得ができるかと聞かれればNOだ


「なんで突然異界に引き込まれるんですか?!」


「月島ちょっと落ち着いて」


赤葦が黒尾に掴みかかろうとする月島をやっとの思いで止めるとため息をつく


「とりあえず今は影山の作業が終わったら話を聞こう」


「・・・はい」


このメンバーの中で一番頼りになる人に言われてしまえば月島も食い下がらずにはいられなかった


「なぁなぁあかーし見てー!!」


ドタドタと走ってきたのは赤葦の先輩、木兎
こんな事になっても相変わらずの能天気さにため息をついた赤葦は振り返る


「木兎さん、今緊急事態なんですから少し静か・・・」


首を傾げる木兎の手には黒猫がいた
首には真っ赤な糸が絡まるように巻きつけられている


「?!木兎さん、その猫!どこにいたんですか?!!」


「え?や、社のとこだけど・・・」


それを聞いて赤葦がまたため息をつく
その様子を見ながら黒尾は木兎の手の中にいる黒猫を抱き上げた


黒猫は黒尾に擦り寄るようにして喉を鳴らす


「あ、黒尾さんずるい!!俺も!!!」


「俺も!俺も触らせてくださいっ!」


「見つけたのは俺だぞ!!!」


「ちょっ・・・リエーフやめっあああっ?!!!」


リエーフが黒尾から無理矢理猫を奪おうとしたせいで猫が黒尾の手から飛び降り、鳥居の外へ行ってしまった


「捕まえてくる!!」


「俺も!!」


「俺も行きます!!」


木兎、リエーフ、日向が黒猫を追っかけて鳥居から外に出た


「おいお前ら!!!」


黒尾が慌てて声をかけるが3人には届かない
やっと作業を終え、立ちあがった影山が人数が減っていることにクビを傾げる


「なんか少ない・・・?」


「今黒猫を追ってリエーフと日向と木兎さんが鳥居の外に行った」


月島がため息混じりに言うと影山は目を見開いた


「日向も?!!」


「そうだけど」


別に危ないモノがあるわけじゃないでしょ、と月島が言うと影山は月島ボケぇ、と弱々しく言った


「ここに引き込まれた理由が分からねぇから危なくないとは言えねぇ・・・」


「・・・それって」


「つまり・・・」


赤葦と月島の顔かみるみるうちに青くなっていく
黒尾は少し目を細めた


「やべぇな、こりゃ」


影山は屈伸を始めた


「は?王様まさか追いかける気?」


「当たり前だろ、死んだら帰れねえし」


そして影山は鳥居の前に立つ


「黒尾さんたちはここにいて下さい」


そう言って走り出そうとした影山の肩を黒尾が掴む


「それはねぇだろ、影山クン?」


「そーゆーの、フラグって言うんだよ?まぁ、王様馬鹿だから知らないと思うけど」


「みんなで探した方が早そうだしね」


月島、赤葦も同意して影山と共に鳥居を出た


「なんか寒い・・・?」


「敵地だからな・・・」


「は?敵?」


「いいからいくぞ・・・早くしないと手遅れになる」


影山はまっすぐ森の中に進んで行った
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