光の青葉

□マフィアパロ
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なり響く銃声の中に佇む一人の男
右手には拳銃
左手にはナイフという随分歪な武器だった
背後に迫ってきた敵を見もせずにナイフを投げて刺し殺す
前方の敵を銃で的確に撃ち殺し進む
左右の敵は全てその男に近づく前に倒れていく
それは彼に優秀な援護がついている証拠だった


「…そろそろ諦めたらどうかな……?」


ニッコリ笑って目の前の男に拳銃を突き付ける
男は苦しそうに顔を歪ませ、持っていたアタッシュケースを置いて両手を挙げようとした
その途端、腰から銀色の拳銃を取りだし、突き付ける男に向けようとしたがそれは叶わず、背後から背中をひと突きされ、彼の方へ倒れこんだ
彼は背中に刺さっていたナイフを男から抜きながら横を通りすぎた


「ざーんねん、時間切れだよ」 


アタッシュケースを持ってコツコツと踵を鳴らして歩く
銃声はすでに止んでいる


そんな彼の元に続々と仲間が集まる
ナイフをクルクル回しながらケースにしまう者
愛用の狙撃銃を担いで欠伸をする者
手に持った拳銃から弾を抜く者
大きく伸びをして倒れた敵からナイフを抜き取る者
拳銃を奪う者


「及川」


彼の目の前に現れた男は拳銃をベルトにしまった
及川、と呼ばれた彼はニッコリ笑って目の前の男に言った


「お疲れ様、岩ちゃん」


そして岩ちゃん、と呼ばれた男を横に並べ、再び歩き出す


「今日も信じてたよ、お前等」


振り返ってそう言った及川の目は酷く落ち着いていた





『青葉組』


表向きは裏社会の情報管理を勤める情報屋
しかし、裏では管理から外れた組織を始末、又は以来を受けて始末するいわゆる殺し屋だ
東北で勢力を伸ばしていてその確かな腕と頭脳で確実にターゲットを仕留める


「ふぁ〜……ねむ……」


その中でも東北一の参謀と呼ばれる青葉組のリーダー、及川徹の実力は群を抜いていた
白鳥のウシワカには及ばないものの、平均値では全国1といわれ、顔を活かした情報屋の仕事もこなしている


「ふざけんな!仕事溜まってんだろーが!グズ川!!」


「ひっど!及川さん昨日の仕事で疲れたの〜!」


「舐めたこと抜かしてんな!!」


岩泉一
及川徹の幼馴染みにして青葉組のエース
小さい頃から及川の護衛、兼、相棒として育てられ、今では阿吽の呼吸と言われる程にまでなった
青葉組になくてはならない存在だ


「……そういえば今日、あれだ」


「あ?」


「岩ちゃん、付き合ってくれない?」


「…車回してくる」


「ありがと」


及川は机の上に飾られている3年前の写真を見て密かに笑うと部屋を出た


「…なんでマッキー達まで?」


車の後部座席に座った及川はせっかくのデートが…、とぼやきながら窓の外を見ている
隣に座る花巻は邪魔しに来た、とケラケラ笑い、助手席に座る松川が護衛だべ、とスマホをいじりながら答えた


「岩ちゃんだけでもいーのに……」


「仮にも青葉のボスだろぉが、そんなんでも狙われんだから当たり前だろ、ただでさえ顔だけ目立つんだから」


「仮にもとか、そんなんとか、ただでさえとか要らなくない?!」


「いやいるべ、及川の取り柄は顔だけだからな」


「確かにな〜」


「酷い!!理不尽!人でなし!」


「「「お前に言われたくない」」」


くだらない話をしながら10分
目的地に着いた及川達は花を持って車を降りた
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