光の青葉

□傷跡
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「岩ちゃん、聞いてよ……俺ね…もうバレー、できないんだって」


及川は俺にそう言った
それは及川にとって死刑宣告だったんだと思う
俺に笑顔を作ってみせた及川は笑っていたけど泣いていた


「……泣くな」


「…泣いてないよ……?」


「……じゃあなんで涙でてんだよ」


及川は頬に伝う涙を拭った
その途端、及川はボロボロと大粒の涙を流して泣き出した


「…っ岩ちゃ…っ…な、んで…なんで俺なのっ……もっと……バレーしたっ……したいっ…………のに…岩ちゃ、にトスっ……あげたっ……」


「…」


出来るなら代わってやりたい
なんでコイツなんだよ…
及川は誰よりもバレーを愛していた
バレーの神様
お前は誰よりもバレーを愛した男から
バレーを奪うのか
俺はただ、及川を抱きしめてやることしか出来ない



及川の膝が悪くなったのは最後のインターハイの少し前
膝に違和感が出始めたそうだ
それでも及川はバレーを続けた
そうすれば自然と負担がかかる訳で
特にサーブ
県内トップのサーブといわれる及川のサーブはとにかく高い位置から叩きつけるようにして下ろされる腕によって急激にかけられた回転がスピードを生む
そのためにはジャンプをしなければならない
つまり、膝への負担が大きい
及川は何とかそれを軽減するために研究をした
威力を落とさずに
それでいて膝への負担がかからないサーブ
練習のほとんどをそれに費やしていたと思う
そしてインターハイ予選
烏野との一戦の途中


「及川ァっ?!!」


「しっかりしろ!!」


「誰か救急車!!」


及川の膝は限界を迎えた


最後のインターハイということで気合いが入りすぎて少しオーバーワークだったのだと医師は言った
それに気付かなかった
俺は自分を呪った


俺たちは及川無しで烏野に勝った
しかし、白鳥沢には及ばず…
及川を全国へ連れていってやれなかった


だから俺たちは誓った
『必ず及川を全国へ連れて行く』と
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