お話

□I Love
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とある街のとある酒場ルパン
では三人の影が店を
埋め尽くしていた
「中也ぁ!」
俺の服をつかみながら
ウルウルとした目で
見てくる、
なんだこの可愛い生物は

そんな可愛い生物は
先程入店したばかりの
俺の事を同じように
何度も呼んでくる、

「中也ぁ!」

こう何度も呼ばれるのも
なかなか悪くない、
しかし返事をしない
わけにもいかない
「な、なんだよ、」
たどたどしくも返事をする俺、
それに対してほっぺを
膨らましてコイツは言う
「中也の好きなもの、
     なんだよぉ!」
いったい何を聞いてくるかと
おもったら…
「丁お、お前、
        大丈夫か?」

言葉とは裏腹に顔を
真っ赤にしながら 
可愛いコイツは言う

「らいじょうぶれす!」

バサッ!と彼女は敬礼をする、

コイツ完璧に酔ってやがるな、
俺は事情をよく知る青鯖に聞く

「おい、太宰、
コイツにどんだけ酒飲ませた…」青鯖曰わく太宰は
半分呆れ顔だ

「アハハ、目を離した隙に
        ボトル五ほ…」思わず俺は先読みし
目をギョッとさせる、
コイツのどこに
そんな量の酒が入るのか
全くわからなかった

「五本?!お前そんなに
       のんだのか?!」

「はい!そうれす!」

いつもは見せない可愛い笑顔で
本日二度目の敬礼、
先程より姿勢が
綺麗になっていた、

「ダメだこりゃ」

俺が呆れ返って居る間にも
コイツはグビグビとお酒を
飲み続けている、
ボトルを取り上げようとしてもなかなか渡してくれない

「…ってことだから、
  中也、後は宜しくねっ!」

太宰は太宰でそそくさと
その場から逃げようとしていた

「太宰!てめぇ!
       逃げるのか!」

後を追いかけようにも
コイツが完全に俺にひっついて離してくれなさそうだし、

「中也ぁ!いかないれぇ!」
無理やり引き剥がそうにも
コイツが可愛いから
ひき剥がせず
(これは理由になるのか?)「…っつ!」
またウルウルとした目で
俺に上目づかいをしてくる、「中也ぁ!すきぃ!」
へぇコイツ俺の事が…えっ?!えっええええええ?
「えっ?!はっ?!えっ?!
 あぁ???い、いや俺は、」
珍しくたどたどしくなる俺、
ヤバい!えっ?!
何を言ってるんだ?!
「イカゲソすきぃ!」
言葉を理解して
ようやくいつもの
俺に戻ってくる、
「えっ?!!あっ
   イカゲソね、イカゲソ…」戻ってくる、
というより
むしろ落ち込み始めている
「中也は好き?」
コイツが問いかけている
意味と違う意味で解釈しては
いけないそんなことは
頭で良く理解してる、
つもりだ、
「えっああ、」
勘違いしてはいけない、
コイツはあくまで
仕事仲間であって、
相思相愛という訳ではないし、
というより一方的に…
俺が好きなだけであって…
「そっか、私も中也の事、
        だぁい好き…」
そんな事言われたら、
俺、勘違いしちまう、
可笑しくなっちまう、けど、
けれど今だけ、
このひとときだけ、
この瞬間だけ、
俺に可笑しな 
勘違いをさせてくれ、「丁…
      俺も愛してるぜ」それを聞くと
コイツは安心したように
笑いかけてきた、
「中也ぁキスしてぇ」
トロッとした丁の顔が
俺に近づいてくる、
連れられて
俺も顔を近づける「丁…」
コイツと意図的な衝突まで
後少し、迫ってくるに従って
頭が酔ったように
ボーッとしてくる
そんな中俺は、
色々な感情をだしながらも
コイツの味や、
触れ心地を考えていた、
「中也何やってんのプフッ」
ガタッ!
慌ててイスから飛び退く、
俺の真後ろにいたのは
先程帰ったと思われていた
太宰、
「えっ?!え、あ、太宰?!      ここれは同意の上で…」

「酔った子との
      同意のキスねぇ、」ニタァっとした
薄気味の悪い笑みをしながら
話を続けた
「気になって戻ってきたら
中也君はお酒の乗りで
この子の唇を
奪おうとしちゃうんだからぁねぇ?」
「えっ?いやっそれは」
俺は弱々しくも  
言い訳をさがすが、
この場を収める事の出来そうな訳はありそうになかった、
「太宰さぁん、私の中也さんに
 何やってるんでふかぁ?」
思わず太宰が目を見開く
「えっ?酔ってるんだよね?」
俺は慌ててお酒で上の空状態の丁の身体を揺さぶった
「お!おい!」
「スゥースゥー」
いや、まてよ、 
これは逃げおおせるチャンスじゃねえか?!
「太宰、ってことだから、
  コイツは俺が責任持って
     届けてやる、」
俺は女にしては
軽すぎるコイツの身体を
傷つけないよう
そっと背中に乗せそそくさと
店を出た、
「えっ?中也?まっ!」
この後太宰さんは
三人分の食費を払い、
トボトボと一人
虚しく帰りましたとさ










翌朝…

「君、昨日は酔ってたの?」
太宰が不機嫌そうに
聞いてくるざまぁねぇな、
「半分///」 
コイツは頬を
赤くしながら答える
「私が中也に
  好きだって言った事しか…」俺は驚きの無言のまま
思わずイスから立ち上がり、丁の側に歩み寄った、「えっ?!お前…」
まさかあの出来事を…
「イカゲソが…」
イカゲソと言われ
やっと我に帰る
「あっ、イカゲソ…ね?アハハ」自分の身体のどこかから
笑い声が響き出てくる
「イカゲソって!
 プハッ!イ、イカゲソって」

床で笑い転げている太宰を
蹴り殺したい、

しかし、

彼女がその間ずっと
意味ありげに
中也を見つけていたことは
中也以外の2人しか知らない

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