お話

□悲哀
2ページ/3ページ

私、丁、

現在とある温泉地でエンジョイ中です!

やっふぉーーい!

お風呂も入って、コーヒー牛乳も飲んで、

歯も磨いて、明日の準備もぜんぜんOK!

そして後は…



足湯だわっしょーーい!

泊まっている旅館から

徒歩十分の所にある足湯、

雲一つ無い満月を見ながらゆっくり

十分間10時過ぎまで浸かる


…あっという間に10時過ぎに
なり、

旅館に戻る、居酒屋のネオンで少し
明るいものの暗い夜道、

後10メートルで旅館の中に入れる

「おじょうさん、
こんな夜遅くに何をしていたんだい?」

そこにはスポーツ用のメガネを掛けた
お人好しそうな男性、

「あ、足湯に行ってたんですよ、
とても気持ち良かったです!」

そのとき私は気分がよかった、

良すぎた、

私は男に明日の予定を全て話してしまった、

ふと、明日も早い事だし早く寝ようと

話を切り上げようとした、

「では、私はこの辺で、」

入り口にいかせないように

男が立ちはだかった、

「ねぇ、もうちょっとお話ししようよ、」

私はそのとき危険を察知した、

しかしもう遅かった、

男が私に抱きつく、

いきなりの事で力が抜け膝が地につく、

男が後ろに回り込み着流しから

胸を触ろうとする、

ああ、なんで下着着なかったんだろう、

怖くて声もでない、足も竦んで

立つのは難しそうだった、

男が耳元で呟く

「ノーブラで着物きて、
そのうえ微妙に胸元なんてみせて、
襲って欲しいんだよね、」

男が胸を触り、

口内を舌でかきまわす、

痛い、

気持ち悪い吐き気がする、

男が腕を紐で縛り、

入り口近くから一目の着かない所まで

私を移動させようとする、

助けてやだ、気持ち悪い

「助けて」

か細く声がでる、
 
男が、太ももを触ろうと着流しを掴む、

目を瞑る、ゴッバキッ!

鈍い音が聞こえ、男が触らなくなった、

「おい、お前大丈夫か?」

そっと目を開ける、

そこには私と同じ着流しを着た
少し小さい男の人がいた、
側ではメガネの男が
目の前がのびていた、


先程の事から解放され安心しきる、
「おい?おい?大丈夫かよ?!」

声が段々と遠くなり、

暗くなる視界、




目覚めるとそこは
何時もと違う部屋だった、 

其処で思い出した、
自分が温泉旅行にいっていること、
ここは旅館の部屋だと言うこと、
そして…


先程の事、急におもいだし、
吐き気がこみ上げる、

トイレに駆け込み吐瀉物を吐き、真新しい歯ブラシを慌てて開け、歯を丹念に磨き直す、

「おい、お前大丈夫か?」

急に男の声が聞こえ、
口に入れていた歯ブラシを落とし、
腰を抜かす、

「わ、わりぃ、
さっきあんな事があったのに急に
男の俺が話しかけたらビックリするよな、」

そういって私の前に立って

「立てるか?」

と聞きながら手を貸してくれる男、

恐る恐る手を取り立ち上がる、

「いや、本当なら部屋まで送るのが
筋なんだろうけどよ、なんせ、
あんまり触れられないから、

俺の部屋に連れてきたんだけどよ、」

疑う私に訳を話してくれる彼は

良い人なようで、

「あの、助けて頂いた上すみません、
私、今回一人旅で、
今晩は一人では寝れないので、
良かったらここのお部屋を
貸して頂けませんでしょうか?」

私の不躾すぎるお願いに男は

「俺は構わねえが」

といって泊めてくれた、

部屋のソファーに寝転ぶと

「あんた、あっちの布団でねろよ、
そんな所で寝てたら風邪ひいちまうし、
寝違えたりしちゃあマズいだろ、」

何とも気を使ってくれる言葉、

とても嬉しかったが
「借りてる身なので…」

といって断った、

すると、

「すまねぇ、少し首襟だけ触るぞ、」

といって触られる、暖かくて、
 
見た目によらずがっちりとした手だった、

「汚れちまった悲しみに、」

男がボソッと呟くと、ふわっ、

私の身体が急に浮いた、

「なっ!な??」

混乱する私に男が説明する、

「大丈夫だ、これは俺の異能力の
『汚れちまった悲しみに、』と言って、
俺の触れた物のベクトルを変えて、
軽くしたり重くしたり出来るんだ、」

異能力、きいたことがあった極稀ながら、

生まれつき何か特殊な能力を持つという、

そういえばこの間私を
心中に誘ってくれた方も
異能力を持つ方だったような…

男は私を宙に浮かせベットに移した、  
男の手が私の肩から離れる…
パッと私は男の手を握る

「は、離さないで…というより、
あ、あの、一緒に寝ませんか?
私、今あなたに触られるの大丈夫でしたし、
それにもしあなたがソファーで寝たら
それこそ風邪を
ひいてしまうかも知れませんし、
寝違えてしまうかもしれません、」
照れながら言う私はまるで
寝付けない子どもの様で、

男の手を離し、
枕に顔を押し付ける、
ごそっとベットの反対から

男が入ってくる、
「じゃあ、甘えるぞ、」

ベットに入ってきた彼の体温を感じながら
私は深い眠りについた、
その日私は夢を見た、夢というより、先日の事を思い出していた、
ある人が言った
「汚い物は上書きしちゃえばいいんだよ、」
手足に包帯を巻き、
ニコニコ此方を見るのは、
誰だったろうか、ああ、そうだ、


「太宰さん、」
次へ
前へ

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ