お話

□look at!
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深々と降る雨は

世界中の恋人達の

移動範囲を狭めたり

気持ちを暗くさせる

ようでして、









この2人も
朝からの雨に
窓をジッと見つめていました、「雨、ですね、」
彼女の言葉に
我に返った彼、
「あぁ、そうだな、」
静まり返る部屋、
外の雨音が聞こえてくる、
「寒くねぇか?」
心配してくれる彼、
こんな彼は私しか知らない、
「寒くないよ、
中也がいるから、」
そんな飾ったような言葉が
淡々と口から漏れ出る、
そんな言葉に
顔を真っ赤にする中也、
かわいいな。
それにしても…

     「暇だね。」



彼は少し考えて

「朝飯いるか?」

あまりおなかがすいては
いないのだけど…
「中也が作って
くれるんだったら…」
彼は勢いよく
タッと立ち上がった、
「何がいい?」
朝はどちらかというと
和食派なのだが、
まあ、
たまには洋食でもいっか、
「うーん、目玉焼き、
ソーセージ、トースト、あと…」

「コーヒーブラックな、」
中也に言われ
2人で目をあわせ
クスッと笑った、
こんな幸せ、
端から見てたら
小さい幸せだろうけど、
私にとっては大きな幸せ、
彼が朝食の準備をしてる間
私はベッドを整え、
中也の服を
ハンガーにかけていた、
キッチンから
ソーセージの焼ける匂いが漂う、
うん、美味しそうだ、
ふと私はソファーの横に
置いてある黒い袋に目をやる、
あ、思い出した昨日太宰さんが
家に寄ったとき持ってたな、
まあ、とりあえず
太宰さんに電話を、prrrr♪
「おはよう#NAME1##♡
どうしたの?もしかして
中也とけんかして私と心中…」

「一生あり得ませんので
結構です、」
私と中也がケンカなんて、
天と地が逆さになっても
有り得ない

「太宰さんが昨日家に
置いて返ったDVD
どうすればいいですか?
捨てますか?
あぁそうですか捨てますか、」

「ああ待って!ダメだよ
捨てたりだなんてしたら」

電話越しに
バサバサゴサゴサ、
何かしら嫌な音がする
何をやっているんだか、
「待って今から行くから、
もう返さないと
延長料金取られちゃうよ、」
「慌てて車に引かれて下さいね、
そしたら中也が喜ぶんで、」
中也のためだったら
人が死のうが
世界が滅ぼうが構わない、







私は電話を切り、
キッチンの手伝いをした、
「さっきの電話…太宰か?」
あぁ、聞いてたんだ、
「太宰が昨日ウチに忘れたDVD
今から取りにくるから」
お皿に盛り付けをしている手が
止まり、彼の目つきがこわばる、

「あの青鯖何時来やがった、」
なんだなんだ?
妬いてくれてるのか?
「お昼過ぎ、
お腹空いたから作れって、」
彼の目つきは一向に
悪くなるばかり、


「作ったのか?」

「作った」

「何を?」

「サンドイッチ(辛子入り)」


「ざまぁねぇな、」

料理をリビングの
ソファーの前にある机に置く
「中也、どうせだから
見よっか?DVD、」
どうせ太宰さんがくるのは
一時間後くらいでしょ、
「まあ、みるか、」
机の前にあるテレビに
ディスクを入れ再生ボタンを
押す、
「これ、ホラーか、」
朝からみるのには
心臓に弱かったか?
まあいいや、
どこかで聞いたことのあるような
クラッシックに載せて
2人の男女が
ゾンビから逃げ惑う、
ようやく鍵の掛かった部屋に入り
安全かと思い部屋を探索する
2人、
カーテンをめくると
そこにはゾンビがいた、


ビクッ!!

私が慌てて横をみると
案の定彼が
私の方をジッとみていた、
急激にあがる体温と気温と湿度、
慌てて目をそらすものの
クスッと笑い声が聞こえた、
その時彼の小指が
私の親指に当たった、
丁度その時またもや
ビックリするシーンを
見ていた私はふいに彼の手を
強く握りしめてしまった、
「ち、中也ごめん///」
顔を真っ赤にして
何をしているんでしょう私…
「なにびびってんだよ、
怖いんだったら
抱きついてきたって
いいんだぜ(微笑)」
顔を真っ赤にして、
ふと、
雨模様の窓をみる

「太宰さん遅いですね、」

いつの間にかに
中也が私の目の前にいた

「あいつの事は
今関係ねぇだろ、」




そして中也が私の耳元で

そっと呟いた

「俺はお前に存分に

溺れちまってんだから、
 
お前も溺れろよ、」







深々と降る雨は

世界中の恋人達の



移動範囲を狭めすぎて

気持ちを楽しくさせる

ようでして、

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