お話

□避難訓練
1ページ/1ページ

「ああ!めんどくせぇ!」
丁の同級生である
中原中也は、
もうそろそろくるであろう
避難訓練というその時間に
保健室にサボりに行こうか、
とおもいながら待っていた、
「まあまあ、中也、
命を守る為なんだから、
仕方ないじゃない、」
このクラスの担任である太宰治は
席に座っている
小柄な中也の背中を叩きなら
言った、
中也は何時にもまして
機嫌が悪いらしく
今にも太宰に飛びかかりそうになっていた
「中也!太宰先生の言うことも
       一理あるんだから…」
丁は中也を
なだめるものの
中也は窓を見て、
舌打ちをした、
「そんな事より、丁。
今度私と一緒にお茶でm…」
太宰先生が何か言ったような
気がしたが何を言っているのか
分からなかったため無視した、
ファンファンファンファン(ブザー音)
「えー第二理科室(三階)より
水漏れ(不審者)発生です!
各自廊下に出て速やかに校庭に
避難してください!
なお、西階段は使えません!」
理科の宮沢先生の
いつものようにげんきな声と、
おかしな放送内容に
「「「「え?!」」」」
と、一斉に顔を合わせる生徒、
教師たち
「えー先ほどの放送は
間違いです!正しくは
『第二理科室より火災発生』
です、なお、先ほど放送した通り
西階段は使えません!」
樋口先生が訂正の放送を
入れるが、
さすが賢治先生!
学校の皆が皆思った
「ま、まあ君たち、
廊下に並んで、避難しようか、」
ドタバタドタバタ!
一斉に出る生徒達、
「中也、君そんなに後ろじゃ
ないだろう?まあ気持ちは
解らなくはないぐほっ!…」
中也は見事な回し蹴りを
太宰にクリーンヒットさせ、
「うぜぇ」とだけつぶやき
自分の場所に入った、
「まあまあ、中也そんなに
      いらつかないで、」
本日二度目丁に
背中を撫でられ
猫のようになだめられる中也、
そんな中、
階段から降りる際
丁が転んでしまった

「ニャ?!」

とおもいきや、
バサッ!と中也と太宰先生に
支えられていた、
思わず手を口に当てる丁、
しかし、太宰先生は
しっかり聞いていた
「ぷふっw『ニャ?!』
          ってww」
太宰先生はお腹を抱え
笑っている、 
中也は中也で
「ったく、おめぇは、
  本当ドジなんだからなぁ。」
二人に馬鹿にされ、
怒った丁は先に進む、
「もう!知らない!」
外は何時も体育で出るよりも
暑く感じた
風吹かれ
白砂を巻き上げる
乾いたグラウンド、
周りにおおいしける
青々とした草木、
燦々と照りつける太陽
…正直皆だるいと思ってるはず、
怠くないといえば、
暇さえあれば一日中学校の
庭の手入れをしてる
といわれているほどの
賢治先生だ、
全生徒が校庭に
体育座りしながら
福沢校長先生の話を
ずっと聞いていたころ、
中也はずっと
丁のことをみていた、
先ほどから彼女の様子が
おかしい、声をかけても
反応がない、
いくらさっきちょこっと
馬鹿にしたというくらいで
彼女がここまで怒るとは
おもえなかった、
中也は先ほどより大きく
彼女を揺さぶった…



バサッ!



校庭に音が響いた、
彼女が倒れたと気づくのに
少しの間があいた
「おい!丁!おきろ!」
彼女はまだ息がある、取りあえず
中也は小さな体ながらも
彼女を背中に乗せ保健室へ
駆けつけた、



彼女は結局熱中症で
倒れたそうだ、
「んっ…」
目を覚ますとそこは
真っ白な天井とカーテンが
目を見張った、
カツッカツッ誰がこっちに来る、
「目、覚ましたか、」
カーテンを軽く開いて
コッチをみてくる中也、
「う、うん、迷惑…
 かけちゃったね、
ごめん、ありがとう。」
ベッドから
起き上がろうとする
私を座りながら止める彼
「余り無理すんな、
またドジかますだろ、」
また私を馬鹿にするのか、
「お前が倒れそうになったり、
ドジかましそうになったら
俺が何時も支えてやる」
真面目な顔して言ってくる
中也に私は思わず
真っ赤にして泣いてしまった。 

この時が永遠に続きますようになんて思った事は私しか知らない

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ