お話

□white room
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キーンコーンカーンコーン♪

キーンコーンカーンコーン♪

ガラガラッと五月蝿い教室の扉を
開けた中ねn…森先生は
そのまま真っ直ぐ歩み続き、
教卓の前にニコニコしながら立つ。
思わず他の教師も
生徒もそれまでのことを
忘れたように静まり返る、
学級委員である織田作之助が
挨拶をする、
「気を付け!礼!
  よろしくおねがいします。」
全員が挨拶し終わり
森先生はあたりを見渡す
「欠席は?」

「0人です。」
森先生はもう一度辺りを見渡した

「あそこは?」

森先生が人差し指で指した先、
窓側の一番後ろには
ガランと机と椅子しかなく、
人は見あたらなかった

「芥川君は先ほどまで 
いたのですが…」

織田作が不思議そうに
まゆをひそめる、

「まあ、大体どこにいるかくらいなら
検討はつくから…このクラスの保健委員は誰かな?」

生徒全員があたりを見渡す中、
一人手を挙げる少女、
「あ、あの私です。」
森先生は大きく開いた丸い目で
此方を見ながら
「ああ、丁君か、君、芥川君を呼びに行ってくれたまえ、芥川君も君が頼んだら来てくれるだろう。」
なにを根拠にそんな事を言うんだなんていえない丁は仕方なくも
保健委員の役目を果たすべく、
保健室の前までたどり着いた。
しかし、なかなか決心がつかず
一人廊下でぶつぶつ言いながら
何時までも経ってもつかない
決心をつけようとしていた。
その時、ガラッ!
保健室の扉が急に開いた、
「っわぁ!」
思わず後退りをした、
なにせそこには

芥川君がいたからである。


「貴様、ここで何をしている?」

芥川君は少々不機嫌らしく、
私を叱るように質問してきた、びっくりして言葉が出ない私に
待ち飽きたのか

「入るなら入れ」

とうながしてきた、
「コーヒーはいるか?」
まるでこの白い空間を
自室のように扱う彼、
「じ、じゃあ頂きます。」
彼の扱う空間と
彼自身の威圧感に
拒否することが出来ない私。
なんて情けない生物なんだか…

芥川君は私にコーヒーを渡し、
白いベッド横にある
前々から煎れてあったと
思われる飲みかけのコーヒーを
手に取り啜った、

「何故貴様はここにきた、」

先ほどとは打って変わって
優しく問いてくれる

「い、いやぁそのサボリに…」
どうしようごめん芥川君嘘だよ!


「僕と同じか、
てっきりあの森とかという
胡散臭い教師に
差し向かれたものとばかり
思っていた」

ギクッ!思わず頬が引きつる、
どうやら芥川君は
私の変化に気付てしまったらしい

「図星か…まあいい、」

呆れたように
またコーヒーを啜る芥川君、
「あ、あの、なんで
授業受けないんですか?
い、いや!別にあの!
答えなくても全然!
構わないんですよ!
単に私の興味という
だけですので…!」
芥川君は再びコーヒーを啜った、
まあ、全然話した事もない人に
言うわけないよね、
「…さい」
微かだが彼は何か言った、
それを私は聞き逃さなかった、
「え?」

私は白いコーヒーカップを
両手で握って芥川君の話を
聞いた、

「他の奴らが五月蠅いからだ、」他の奴ら?
それって、クラスメートのこと?

「僕は成績が落ちようと
悪者呼ばわりされようと構わぬ
五月蝿い奴らがいるのは嫌だ、
それだけだ、」
私は芥川君のサボリの理由に
半ば驚きながら決意をした、

「じゃあ!!私がその
五月蝿い奴らを
静かにさせます!!」

芥川は此方をじっと
見開いた目で私を見つめてくる、「貴様がか?」
私は芥川君に
微笑みかけながら促す

「はい、だから来て下さい、」

芥川君は眉間にシワを寄せて
考え込んでいる、

「貴様は…貴様は何故
そんな事をする?
誰のためなのだ?」

「芥川君の為っていうのもある、でもクラスメートとか先生、
勿論私自身の為でもあるよ。」

コーヒーカップを
ベッド横に置き、
ベッドから立ち上がる、
芥川君に手を差し伸べ、

「行こっか」


と明るく促す、




「一つ、条件がある、」


「なぁに?」








「僕の事は龍之介とよべ。」

今更照れくさそうに
注文をしてくる、

「わかったよ、龍之介」

二人は手を繋ぎ、

白い静かな部屋から、

カラフルな空間に向かい


歩み始めた…

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