お話

□白い雪のプリンセスは
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時刻は11時すぎ、
寒い風が吹き荒れる横浜の一角にある赤いレンガのビルジング、
その中にある探偵社の中では
机で黙々と書類をまとめている国木田と、仕事はもう終わって居るのに居残っている太宰と、

もう一人

その太宰にお誘いを受けている
丁がいた、

「丁…今日も綺麗だねぇ、良かったら私と
食事でもどう?」
いつものように嘘のような
言葉を言い放つ
太宰からの誘いに
丁は回答に迷う


「国木田さんとなら…」

太宰の顔が固まる
「え?」
国木田が机から飛び退き
何やらアワアワする

「な!な!な!なにを
言っているんだ?!」

彼女は顔を真っ赤にして言う

「ちゃらんぽらんな太宰より
誠実な国木田さんとなら、
お食事に言ってもいいと、」

国木田は机に再び座り直し、
頬を指でかきながら言う 

「別に嫌なわけでもない、
予定が空いていないわけでもない、
しかし今からでは
どこの店もしまっているぞ、」

彼女は少し考え

「それなら私が国木田さんの家に行ってつくりますよ、」

またもや驚愕的な事を言って
国木田の家で食事を
作る事になったのが一時間前、
丁が
素敵なビーフシチューを
もてなした、


彼女は肉をそっと
口に含むとそっと笑みを浮かべた、
話はそこそこ弾み後半は国木田の太宰の愚痴だったものの、
楽しい食事となった、

お酒で酔った国木田さんを
寝かせ、丁は
帰宅する、

はずだった、

帰宅途中に後ろから襲われ

薄れゆく意思の中で
とてもファンタジックな夢を見た、
いつかのおとぎ話のような夢、
いつも手帳ばかり見るあの人が

真っ直ぐ私を見て

あの人の接物で目を醒まさせて欲しい、


黒い棺のような、

彼、芥川の下から

連れ出して

「貴様には此処に永遠に
いてもらう、僕のものになれ、」

突き刺さる狂った愛は
昼ドラマ的なもので、
祈っても手帳を持ったあの人は
まだ来ない



芥川を愛さなかったから、
国木田を愛したから、
妬みを買われてしまった

彼の7人の同僚は
私がこんな事になっているのを知ってるけど
助ける義理もないし、
知らんぷりしている、
そんな事考えてたら
芥川にそっと首を掴まれ
黒い笑みを浮かべられた、

これからどうなるのだろう、
そう思って湧き出た
一粒の涙さえも拭えなくて
呼吸もままならない
本当に辛いし、
帰りたいと思っていたら

いつの間にか視界が失せた…

だから早く
あなたに駆けて欲しいの訳は
聞かないで
そんな事応えられない

最後に国木田と会った日から
何日もたった、
もう望まない芥川からの
憎まれと暴力は
深い愛の二乗
もうすぐいなくなるのか
なんて考える

自分でも聞こえてくる、
自分自身の途切れてく命の音
毒リンゴを食した
少女のように眠りにつく

思い残した事は沢山ある
最後にもう一度お願いさせて
国木田さんの接物で
目を醒したい、

胸の中の声は届くかな?

最後に聞こえた、
階段を駆け上がる音、
あなたの声、
私はその白いドアを開けるだけで
見つかるよ

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