お話

□カレーライス!
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あるアパートの一室の鉄の扉を
コンコンとノックする、

ギィーと扉が開くが
扉の向こうに部屋の主は居ない、

部屋の主は俺の相棒、ついこの間配属された、射撃の腕はそこそこだが、彼女には色々な魅力がある、

心配になり中に入る、

「丁…入るぞ…」


女性の部屋に入るのが

初めてという訳ではない、

が、

こう改めてみると

自分の部屋とは違うなと思う、

別にどちらの部屋も汚い

と言うわけでは無いのだが

丁の部屋は明るく、

シンプルだ非常に俺好みの…////

い、いや、

別にそういう

いかがわしい訳では…


ガサッ彼女が急に目の前に現れ
驚愕する、先程考えていた事が
原因でもあるが其れよりも…


真っ赤に腫れた目、


離れていてもわかる濡れた下まつげ、

そしてキラリと冷たく光る刃物、



俺は咄嗟に刃物を叩き落とし

彼女を抱きしめる

「お!織田作さん?!
一体どうされたんですか?!」


どうされたも何も

「丁!どうしたんだ?!
誰かに悪口を言われたのか?!
とにかく!早まっちゃ駄目だ!」


ぷふっ


彼女から笑い声が聞こえる

「へ?」


丁は指で涙を拭う、

「すみませんご迷惑お掛けしてしまって、
料理を作ろうとしたら
少々手間取ってしまって…」

俺は直ぐに立ち上がり、

彼女の立ち上がるのを手伝う、

「料理?初耳だな」

その言葉に彼女はムッとする、

「心外です!私だって料理つくります…」

くらっと倒れかける彼女を慌てて支える

「丁?!大丈夫か!」

慌ててベッドに寝かせる

「すみません、
またご迷惑お掛けしてしまって…
最近寝てなくって…」

俺はジャケットを椅子にかけ、
シャツを捲る

「カレーか、少し寝てろ、
作ってやる」


「いえ!そういう訳には!」

起きあがろうとして倒れる、
慌てて押さえベッドに寝かす、


「俺も丁度カレーを食べたかったんだ、
作った事もある、大丈夫だ、」

彼女は諦めたようにベッドに入る

「すみません、では少し甘えさせて頂きます。」

材料の野菜を洗い、

皮を慎重に尚且つ素早く剥く、

鍋にバターと、

くし切りにした玉ねぎを入れ、

あめ色になるまでいためる、
程よく炒めたら
角切りにした野菜と牛肉を入れる、

水を入れグラグラと煮込む、

ジャガイモの固さをフォークで調べる、

うん、いいかんじだ、

ルーを入れ煮込む、

茶色くなっていく鍋、

良い匂いが此方に漂ってくる、
ここで隠し味にコーヒーを入れた、
これは美味しくなると太宰に言われたからだ、

まわりを鮮やかなオレンジで彩られた皿に、
ご飯をもり、
先程つくったばかりのルーをかける、
丁を起こしにベッドへ戻り、
彼女を見る、




窓から降りる日差しに照らされた彼女は
つい起こしたくなくなるほど
幸せそうに眠っていた、
しかし、

そういって起こさない訳にもいかず…
「丁、丁、おきろ、カレーが出来たぞ、」

すまない丁…

「織田作さん…」

ほんわりとした声で名前を呼ばれ、

思わず胸が締め付けられるかのような
思いにかられる、


「起こしてすまなかった、」
ただ其れだけは言っておきたかった、

「織田作さん?!すみません!
あまり目覚めてなくって!
すみません!」
 
慌てて立ち上がりリビングへ向かう、

「うゎぁ!美味しそうですね!」

椅子につきながら料理を見る丁、

「織田作さん?なんでお皿が
一つしか無いんですか?
もしかして私にあーんして
ほしいとかですか?」

彼女はスプーンでカレーと
ライスを均等に掬う、
それを俺はパクッと飲み込む、

口の中のカレーを全て消化する、

勿論赤面だ、

「な!お!織田作さん?!」
ビックリする彼女、

仕方ない、

俺自身もビックリしているのだから、

「すまない、調子に乗った、
スプーンを今変えてこよう、」

スプーンを取ろうとすると、
彼女は其れを制し、
カレーを一口ほおばった、
「お!美味しいです!
織田作さんももう一口どうですか?」

そういって差し出された
一口分のカレーを再び頬張り一言

「うまい。」

彼女には俺の切った野菜は大きすぎたのか

食べずらそうだった、

一皿のカレーを二人で食べ終え、

食器を二人で洗う、

「こ、今度お礼に私が作ります!」

スポンジで皿を洗いながら彼女は言う、

「じゃあ、今晩にでもどうだ、
どうせ仕事はさっと終わるものだ、」
というより何が何でも 
さっと終わらせる!

「…はい」

その日の二人の仕事は
何時もの1/5も早く終わったとか?

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