お話
□病は気から
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病は気から、少し前まで私はこの言葉を信じていなかった、
隣の家、毎朝5時から聞こえる念仏
両親の痴話喧嘩、
父親の借金の話、
時には3年前に起きた
父親がおこした死亡事故の話、
あんたがああだから!
知るか!
五月蝿い!
色んな情報が入ってくるどれも私には
不必要、遮断しようと耳を押さえても
情報は指紋の細かな隙間から、
皮膚や骨に響きながら私を少しずつ蝕む
今や、恐怖、まさしく病
両親の痴話喧嘩は嫌悪感を生み出し
父親の借金は、
いつか私の物になってしまうのでは?
と将来に対する希望を削り取り
父親のおこした死亡事故は、
いつか殺された男の遺族に復讐されてしまうのでは?と人に対する信頼を削った
そしてこれらは具現と化し私を襲う、
時には暴力、
暴言、
あんたなんか生きてなきゃいいのに、
シネバケモノイイノニシネバイイノニシネバケモノイイノニシネバイイノニシネバケモノイイノニシネバケモノイイノニシネバイイノニシネバケモノイイノニシネバケモノイイノニシネバイイノニシネバケモノイイノニシネバイイノニシネバイイノニシネバイイノニシネバイイノニシネバケモノイイノニ
繰り返すのは母の声、父親の心の声、
私の周りの物の声、
「どうすればいいの?私は、」
シネバイイノニシネバイイノニシネバケモノイイノニシネバケモノイイノニシネバケモノイイノニシネバイイノニシネバイイノニシネバケモノイイノニシネバケモノイイノニシネバイイノニシネバケモノイイノニシネバイイノニシネバイイノニ
頭に響き渡る声、遮断しようとするが
涙ばかりが溢れる
「死ぬか」
屋上から下を見下ろす、
多少ながらシネバイイノニと言われた言葉に
従うのかと己に呆れかえる
きっと彼らが私にシネバイイノニといったのは
私が気楽な性格だからずっとふざけたような態度だから、
コイツにこんな事言っても
コイツはきっと傷つかない、
そう思っているのだろう、
コツコツと後ろから足音がする
「やあ!こんにちは!自殺日和だねぇ!」
包帯を色んな所に巻いた男はその後の
私の運命を変えた