今日は何の日?(小説)

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「乱歩さん!お身体にわるいですよ!」

新顔の敦の声が響く

「甘いのが好きでも其処までは…」

呆れる谷崎と
乱歩の机に集まり、
口々に物言う観衆に
当然丁も気になる訳で…

「なになに?どした?うげっ、」

観衆を退かし、
乱歩の机の上の物を見る、
ガラスのコップの中には…
たっぷりの蜂蜜、
慌てて逃げる様にイスに座る丁、
先程見た物の事を忘れようと
机の書類に目を落とす、

「どうしたんだい?
綺麗な顔が台無しだよ?」

そういって丁に顔を近づける太宰、

「すみません五月蠅いです、
あっち行ってて下さい、」

睨みつける様に太宰を見る丁、

「いやぁ、気になるじゃない?
なんでなんで?」

いつまで経っても
どこにも行かない太宰に嫌気が差し、
給湯室の方へ足を運ぶ、


ぐらっ、


丁から見える世界が
二重になり、
180度回転する、

「丁?!丁!!」
 
目蓋が閉じ、
やがて太宰さんが私の名前叫ぶ声も
聞こえなくなった、
目が覚めると、
そこは白いフカフカベッドの上だった、
掛け布団を腰元に下ろし、
ボーッ起きていると…

「目が覚めたかい?」

いつから見ていたのか
気づかなかったが、
太宰がしきりのカーテンの間から
顔を出していた、

「水はいるかい?」

先程までは気付かなかったが
喉がとても乾いていた

「はい、貰います、」

貰ったコップの表面は当然の事ながら
冷たかった、
太宰が持ってきた丸椅子にすわる

「悪かったね、」

丁は少し驚いた、
いつもあんなに幼稚な太宰が
急に謝ったのだ、

「いや、これは私の体質なんだ、」

訳を詳しく話すとながくなるが、
丁は生まれつき
甘いものがあまり好きではなかった、
しかし丁の両親は
丁を女の子らしくするため
必死に甘いものを食べさせようとした、

それからというもの
甘い臭いを嗅いでも
実物を見ても
気分が悪くなるようになったのだ、
話を聞き終えた太宰は
少し納得していないようだった、

「なる程、しかし、君、
この間私があげたチョコレートは…」

丁は顔を赤くして
そっぽをむく

「あ、もしかして捨てちゃった?」

マズい、気まずい…

「い、いえ!その…
食べました、」

「え?でも君、食べれないんじゃあ…」

でないと先程の話と矛盾してしまう…

「そ、その、無理矢理
コーヒーに入れて飲んだんです…
太宰さんから…いえ、
好きな人から貰った物を
食べないわけにはいきませんので…///」

言い終えるか言い終えないかのうちに
丁は枕に顔をうずめる、

「す!すみません!迷惑でしたよね!」

バサッと太宰が後ろからかぶって来た、
背中越しに後ろから温もりがつたわる

「何を言ってるんだい、
私も好きだよ丁、」

太宰に抱きつかれるものの、
その熱は暑苦しくない、
それはまるで、
出来たての蜂蜜のような、
暖かい暑さだった…




蜂蜜の日でしたぁ!!!!

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