今日は何の日?(小説)

□8/11!
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頭脳明晰、 清廉潔白、   

スポーツ万能、


更に綺麗な顔立ち、

織田作先輩、
そんな完璧すぎる人が
丁の数少ない男の知り合いな訳で、
そんな織田作先輩とは昼休みには
一緒にご飯を食べたり、
登下校は一緒にたわいもない話を
する仲なのだが、

「丁って、」

五分休みの少し忙しい時間、
クラスメートのエリスちゃんが
話しかけてきた、
相変わらず洋人形の様で可愛らしいなぁ

「ん?」

いつも通り何気ない返事を返す、

「織田作先輩の事、どう思ってるの?」

思考が一時停止する、
私にとっての織田作先輩、

「えっと、友人かな?」

適当に繕う、実際の答えは
自分で言うのもなんだが、
何故かわからない、正直、
自分に友人ですか?
と言ってもあまり納得していない、
私の答えにハァと深くため息を吐く
エリスちゃん、

「何でなんでしょうね、
学年も成績も運動能力もそこそこ、
良いとすれば性格くらいだけど?」

此のエリスという女学生、
決して悪意を持って
こんな事を言っている訳ではないのだ、
ただ単純に純粋に思っている事を
言っているのだ、
ただ、それであっても、
それであったからこそかもしれないが、
丁の心にヒビが入る、
頭の中で織田作について
記述が流れる

その間約1秒、

「そういうエリスちゃんこそ、
森副校長先生に 
とっても可愛がられてるでしょ!」  

話を誤魔化すように出した話題、

中年、

ロリコン、

変態、

だけど実は優秀で、

計算高い、

それでもって学校の裏を取り仕切っている
という森副校長先生、
噂だが、
福沢校長先生の席をいつかとろうと
目を光らせているらしいとか、
そんな森副校長先生の側にいつもいるのか、
それともエリスちゃんの側に
森副校長先生がいるのかわからないが、 
取りあえず仲の睦まじそうな二人、
学校の七不思議に入りそうなレベルである、

「リンタロウはね!いっつも
私についてくるのよ!仕方なく私は
それに付き合ってるだけよ!それに…」

とツンツンした言い方ではあるが
どこか嬉しいそうに
森副校長先生ついて語るエリスちゃんを見て
先程の話題に対して
あまり掘り下げなかったという安堵が
漏れ出てくる、
あっという間に次の時間、

梶井先生の理科の
(大体の時間が、
爆破した後涼しくなる爆弾開発の実験等の、
梶井先生が新開発した物を
ただただ一時間爆破させられる、)
実験で、これでもかというくらいの熱や、
水や、砂糖やマンボウ(?!)
を浴び、一時間が終了した、 

「いやぁー今日も短かったねぇ!  明日も実験があるから宜しくね!」

と明日も地獄に行けるよ
並みに度きつい言葉の後、

「あれ?織田作くん、
ノート置いてっちゃったみたいだねぇ、
君、宜しくね、」

と当然のように預けられた其のノートは
文字の列がびっしりと
綺麗に書き込まれていて、

見ちゃいけないとわかっていながら
文字に見とれていた、

ノートは放課後渡すべきだと考え、
バックに入れる、


放課後、
何時もなら門の前で
待ち合わせして帰るのだが、
ノートの事もあって
織田作の教室に直接赴く事にした、
そういえば織田作先輩の教室に
直接行くの初めてだな、
なんて思いながら実際来てみたものの
どうしよ緊張して顔を出せない、
緊張している所に
教室からの声が廊下にいる私に響いた、
どうやら中は織田作先輩と
太宰先輩の二人だけらしい、

「織田作ってさ、銀ちゃんの事好き?」

話を切り出したのは太宰の方だった、
が話の内容に丁はドキッと
胸を刺される
織田作の声が聞こえる

「あぁ、」

廊下にいた丁は
いつの間にかに消えていた、
織田作はふわりとか香った彼女の匂いに
気のせいかと気付く事が出来なかった、
一方♡は廊下を走り、
階段を三段飛ばしに駆け上がり、

屋上にのぼりついた、
兎に角飛び降りたかった、
泣き叫びたかった

「ぐずっぐすっ、」

目の前が拭っても拭っても
しょっぱい水で覆われる、

昔聞いた事があった、
感情のこもった涙は
とても味がしょっぱいらしい、
今の♡の涙はとても、
海の水よりもとってもしょっぱくて、暖かかった、
自分の涙の味に思わず座りこんでしまった、
ただ、友人が同級生に好意を持ってると
わかっただけで、フェンスをよじ登ろうと
手をかける、自殺防止用
(太宰の為だけにつけられた)

の針金が手に刺さり、
ピタリピタリと血が屋上の床に垂れたり、
自分の制服のシャツにつく、
が、

そんなこと構うものか、

今から、

その何十倍もの痛みを受けて死ぬのだ、

カッターシャツが針金に引き裂かれ破れる、

パッ!腕に微かななま暖かさを感じ振り返る、

「おい、お前なにしてんだ、」

そこには中原先輩がいた、

中原先輩は小学校からお世話になっていたが

振りほどくようにフェンスの
向こうへ進もうとする、

中原先輩が、お腹を掴んで無理やりフェンスから引き剥がす、

パシッ!乾いた音が響く、

「お前なにしてんだってきいてんだよ!!」

頬の痛みを理解し涙が溢れる

「中原先輩!中原先輩!」

とただ、名前を呼びながら泣いていた、

中原が不器用そうな手つきで
私の頭を撫でてくれた、

日も来れようやく落ち着いたころ、

丁は中原に経緯を話した、

着替えがなかった丁に
中原が体操服を貸してくれた、

丁の手の平に包帯を巻いてくれた、

本当に良い先輩だなと思った、

流れで一緒に帰るというかたちになって、 
門の所まで一緒に歩いていった、
 
門には一つの影があった、

「織田作」
 
中原なりの気遣いからか私の前に立って

逢わせないようにする、

そのせいでか織田作の表情は見えなかった

織田作side
「銀ちゃんの事好き?」

と太宰に聞かれた時、
俺は一瞬丁の事が好きか?

と問われているようで
なぜか心が締め付けられた、

一癖も二癖もある俺に
いつも笑顔で話を聞いてくれたり
話してくれる彼女、

ふと彼女を待たせてはいけないと適当に

「あぁ、」

と返事をする、

思考が上手く働かない、
今俺が何に対してなんと答えたのかも、
ふと、鼻に触ったような気がした
彼女の優しい香りが彼女の愛おしさを表す、
その愛おしさに早くもっと近くに行きたくて、

カバンに物を急いで詰め込む、

「また明日な、」 

足が軽い、

鳥のように、

ふゎふゎと青空に浮く風船のように、

空は茜色から蒼へ染まりかけて
どこか幻想的だった、

校門側の達筆な書体で書かれた
銅札の前にはまだ彼女はいなかった、

暗くなる空に、不安ばかりが沸きでてくる、

もしかしたら変なことに
巻き込まれてるんじゃないのか?
学校に戻って探そうかと思ったとき、

彼女が下駄箱の入り口から現れた、

しかし、

その様子はいつもと明らかに違っていた、

服装は中原と明朝体の刺繍のされた
青ジャージ、隣には持ち主と思われる中原、

彼らが近づくに連れ、

先程から溢れていたものが
小太鼓をだんだん強く打つように暴れだす、

「織田作、」

そういった中原に隠された
彼女は気まずそうに口ごもる、

更に太鼓は強く打つ、
彼女が中原の方をみる、

バァン!太鼓の皮が破れた様な音が
頭に響く、
 
自分が何をしているのかも分からなかった、
ズカズカと足で地を鳴らすように歩き

彼女に近づき、

ほっそりとした白い冷たい手を握り、

校門を早歩きに彼女を無理矢理に
引っ張った、

「織田作先輩!痛いです!」

そんな彼女の悲痛な叫びも

今の織田作には届かなかった、

「おい!織田!痛がってんだろ!
離してやれよっぅあ!」

止めに入ろうとした中原を糸も容易く投げる、

がん!

という鈍い音がして中原はその場に
倒れてしまった、

その様子を間近で見ていた丁は
初めて織田作に恐怖を抱く、
とにかく逃げようと
織田作の前を歩き急旋回して振りほどく、 

しかし

丁は其処から逃げることが
出来なかった、 

「織田作先輩…」

驚きや悲しみが入り混じった顔で

織田作を見つめる

二人の時は止まったように動きを止める、

先程までの少しあたたかだった風が
ヒヤリと肌に当たり寒気を覚えさせる

彼女は織田作の手を両手でぎゅっと

キツくにぎり呆然とする彼を自分の方へ

ひっぱる、其処まで強い力で引っ張った
訳でもなかっかが、
織田作は膝から生気を無くした人形のように
彼女の腕のなかに落ちた
身長差があるせいか織田作の足が
微妙な位置にあるためとても不格好だった、

「ゴメンナサイ」

彼女はそっと暖かい声でいった、

彼女の瞳から溢れてきた涙は

織田作の制服に落ちたのち吸い込まれ

模様のように色を変えた、
彼女が織田作を両腕で抱く、
その腕は強く、

しかし弱く、

暖かい物だった、

肩に生暖かさを感じた
「すまない、すまない、」
呪文のように彼の口から出てきた
言葉に彼女は

「あなたがあまりにも
苦しそうな顔をするから、」

そういった彼女は織田作の頭を
そっと撫でた、

「丁もだろう?」

織田作にそう言われ彼女は顔をうつ伏せる、

「私好きな人がいるんです」

自分でも何を言ってるんだか
分からなかった

「でもさ、その人他に好きな人が居るって、
だから、かなしくて!淋しくて!屋上から飛び降りようと思ったんです、
何もかも捨てて、
最後位に汚い素敵に真っ赤な花をさかせたら
なんて変な事ばっか考えながら
飛び降りようと思ったの、
そしたら中原先輩がいて、「馬鹿か!」って怒られちゃったんですよ、」
話が終わり何とも言えない空気が流れる、

「頑張れ」

顔に合わない言葉を織田作は云う、

「え?」

予想外の言葉にたじろく、

「まだ振られた訳じゃあないだろう、
丁は愛想が良くて可愛くて、
天然ででも時々ドジふむときもあるけど
とってもいい子だと俺は思うだから、

頑張れ、」

そう言われた彼女は泣いた、

織田作は落ち着くまで彼女を宥めた、まあ、織田作自身も彼女に宥めて
もらっていたが…
落ち着きを取り戻し別れ道にさしかかる

「織田作先輩、今日はご迷惑をお掛けして
本当にすみませんでした、」

謝罪をする彼女に

「いや、俺の方こそすまなかった、」

といって、
またまた何ともいえない空気が流れる

「織田作先輩、本当にすみませんでした、
また明日、好きです!」

彼女は早足に家に帰る織田作も

「じゃあな、」

と言って家に帰ろうとする、

いや、

まて、


 待て、



織田作先輩、
 


本当にすみませんでした、



また明日、



好きです…










好きです?!


「丁?!」


と振り返った頃には彼女はいなかった、

そう気づいた時には織田作は荷物を
道にほっぽりだして彼女を追いかけていた、

彼女が本当の告白をするまで、



あとx分

応援の日!

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