今日は何の日?(小説)

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ハアッハアッ息が切れる、

汗が額から頬、

顎へと垂れ服や地面に垂れる、

しかし文句一つ言えないこの男には

訳がある、


昨夜の出来事、

天敵である太宰治を追いかけるうち、

相手に気付かれ返り討ち、

延びているところを現相棒である丁

に助けられた、

其処まではまあ、

よしとしよう、その後がいけなかったのだ

「飲みに行くぞ」

そういった俺が

ガキのように粘り丁が根負けした、

そしてテキーラを

瓶で飲ませてしまったのだストレートで、

さすがにマスターも

これではいけないと思い

お互い自宅に送られた、

翌日何も覚えていなかった俺に

思い出させたのは丁が仕事場である

取引場所にこなかった事実である、

んなわけで

アイツの見舞いに行く事になったのだが、

アイツの家が山奥にあったなんて、

前に聞いたとき

「あ、家此処から15分ですよ?」

なんてポートマフィア本拠地で

言われたものだから

サッと終わると思ったが、

登ること、30分ようやく着いた小屋は

どこかファンタジックだった、

二日酔いだろうと思われる彼女の頭に

響かないようそっとノックをするが

返事がない、

そっとドアノブに手を掛け回す

カチャそっと入って見る、

「うわあっ!」

当たりいっぱいに茜色や藍色、

薄紅色の生物がウロウロしていた

というか部屋の中が

熱帯ジャングルのようになっていた、

「…かはら、先輩?」

か細い声で床を伝って出てきたのは

相棒である丁、

ウイスキーを

ストレートで飲んだせいなのか

立つのもやっとのようだったが、

仕事には行こうと思ったらしく


黒のストッキングに、

クリーニングに出したばかりのなのか

タグが付いたままのマーメイドスカート、

白いシャツ黒ネクタイと言った服を

本人はしっかり着ている

つもりなのだろうが実際は

何時もより崩れた恰好になっていた、

黒革のビジネスバックをもち

俺に近づく

「中原先輩、すみません、
私朝から行こうと
準備してみたんですけど
間に合いませんでした、
全ては私の精神力の欠如や
その他諸々です、
どうか煮るなり焼くなり
好きにしてください」

いや、俺が悪いんだから

そんな誤んな

とあやすウチに一匹の赤い鳥が

彼女の肩に乗っかった

「クロイホシ!!クロイホシ!!クロイホシ!!」

急に叫び出す赤い鳥に彼女は

はっと此方を向く、

「中原先輩!っく!すみません、
どうやら敵が押し寄せてきたみたいです、
この子によると30人位みたいです」

おいおいどうやったんだよという

言葉をかける間もなく

小屋の裏口に押し出される

「中原先輩、全ては私の不始末です、
中原先輩は此処から逃げて下さい、」

おい!てめえも逃げるぞなどと
言葉をかけることも出来ず

裏口はバン!と乱暴な音と共に閉まった
彼女は明らかに最後にこういった、

音が聞こえずとも

口とあの顔からみればわかる

「好きでした。」

悲しそうな顔でそんな事言うなよ、

目頭が熱くなる

「馬鹿やろう、」

そうつぶやいて俺は駆け出した


彼女と敵の鉢合わせるまでの距離は

けっこうなものだ、

今の彼女の状態を考えても

間に合うか分からない、

頼む間に合ってくれ、頼む!

その頃中原を追い出した丁は

最後の言葉を彼に伝えるこれで

思い残すことはない、

霞む目の前や震える手は

どうやら二日酔いが原因ではなさそう、

生きたい、私の心には

まだその気持ちがあった、

中原先輩と色んな所に行って学んで

ワイヤワイヤと楽しみたい、

時に叱られても精一杯やりたい

中原先輩の為にS&W M500の9ミリに
弾をこめ、

鳥を皆逃がす、

二日酔いで頭が冴えない、が、

いまはそんな事言ってる場合ではない、

小屋を出て木に隠れ呟く

「兎の眼」

異能により超音波が辺り一帯(やく3キロ)

までの地図と相手の位置情報が

頭に流れる、

倒木に地雷の仕掛けをはり、

手榴弾を糸を使いサッと木にかける、

敵を待ち構える、

耳を辺りの音をひろわせるため集中する、

パキッ!木の枝が折れる音が聞こえ

まず一発其処に打ち込み奥へ逃げる、

予想通り敵は私が先程撃った地点へ

発砲をしている

其処から私が即座に静かに相手の後ろに

回る事によって形はつくのだが、

今日は其処まで上手く動けない、

あぁなんて脆すぎる精神力何だろう

仕方無く背後からではなく真横からねらう、

が、


「ぐぁっ!」

馬鹿すぎる


木の根に躓くなんて

起き上がり周りをみてみると案の定

「あぁやっぱりね、」

何人もの大男が私を取り囲んでいた、

大男の独りが私にタブレットを見せる

「やぁ、君かい?今日私たちの
大切な取引を妨害したのは、」

画面に映っていたのは如何にも悪い事

ばかりやっていそうな眼鏡の男だった

「いやぁ、君の性で
私たちの大株主が独り消えてしまってね、
このまま君を無責任に
放置しておくわけにはいかないんだよ、」

怒っているのか早口に淡々と話を続ける

「いや、でもよく見ると君は
美人さんだねぇ、
どうかな?私の伴侶になれば
今回の事は水に流してやる、」

下心満々の顔で言うその言葉や態度は

私の琴線にふれる部分があって、

「誰か糞眼鏡何かの伴侶になるか」

なんて言ってやった、

男は顔を変え冷淡な声で言った

「殺れ、」

男が私のこめかみに銃を向ける

「ああ、そう言えば
君の家の裏から逃がしたんっと、あ、
中原中也でしたっけ?
アイツも捕まったらしいので
後から君の下へ来ると思います」

頭がまっしろになる、

あぁ涙がこぼれていく

大男は拳銃の安全装置を外す、

ドンッ!鈍い音が森に響く、

丁はそっと眼を開ける、

男達は

皆倒れていた、画面の男は

斧で切ったような跡を付けて息絶えていた、

目の前にいる男を見る

「俺が捕まる訳がねぇだろ、
適当に時間を稼いだだけだ、」

ドシッ、

安心して大地に寝転び深い眠りにつく、

この後丁は中原に、

一時間どぎつく怒られた、

しかし

青い文鳥が高い声で鳴く

「オレモスキダオレモスキダ」

この愛の形は誰?


文鳥の日

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