今日は何の日?(小説)

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ガキは嫌いだ、

泣いたり騒いだりとうるせえ、

同じ用な事を何度となく繰り返す、

極めつけはあれ嫌いこれ嫌い、

だが

「これは…」

子どもが二人いる、
ひとりは金髪の見慣れた洋風の少女、

もうひとりは黒髪の見慣れない和風の少女

全く持って真逆な二人の少女が

屈強な黒スーツとサングラスを纏った
大男共の目の前で

俺の隣にいる唯一の女マフィア
丁に目で訴える

“コイツ誰だ”

「お客様です、首領曰わく」

首領と再び言う丁の言葉に

びくりと肩を揺らす

他の男共の目線がイタい

「おい、お前ら見せもんじゃねぇぞ、さっさと持ち場に戻れ!」

男共が持ち場に戻るため散る、

いつの間にかに二人の少女も

丁もいなかった

しばしの休憩の為に自室に戻る
 
扉が少し開いているのをみて警戒心が強まる

静かに扉を開け入る

「キャハハハわかるわぁ、」

「でね、その後中也が溝に足を突っ込んじゃってー」

嫌な思い出が蒸し返され

口どめと言わんばかりにソイツの背後に回る、

「おいこら、てめえがなんでその話を知ってる、てかてめえがなんでここの部屋入ってるんだ、」

エヘヘと顔を指で掻く

「いや、遊び場に良いところが無くって」

おいおい

「此処は遊び場か、てめえの部屋に連れて…」

「子どもが触れると危ないから」

そうだと言って思い出した
コイツの部屋はどんな戦地よりも危険で、太宰やゴキブリ並みの生命力を持ってしてでもねぇと、とてもじゃねぇが子どもがはいれるレベルじゃねぇ、時々コイツが寝返りをうって銃が暴発している、

「あーわりぃ」

別ればいいんですと言うように 
ドヤッとする、

前言撤回

「他の部屋に行け」

と追い出そうとする

「お兄ちゃん私の事嫌いなの?」

うるっとした瞳でこちらを見つめる、

首領なら此処で折れているのだろうがこれでも俺もポートマフィアの幹部だ、
「好き嫌いじゃねぇ、ここは俺の部屋だ遊ぶんだったら他行き…」

「嫌いなんですか?」

ポツリと眉をひそめくりっとした目で
見られ口ごもる 

それをみて悔しがるように口を膨らますガキ、

「…」

「…」

「だったらお兄ちゃんも遊ぼうよ」

は?!二人してガキの言葉に驚愕する

「あはっ!アハハハ!あのねこのお兄ちゃんが子供と遊ぶなんて」

「私ね前からやりたかった事があるの」

「だ、だからねぇ、」

「私家族居ないのだから家族ビデオ撮りたいの」

急にシビアな空気に変わる
  

「わかった、やろう。」

最初に行ったのは中原だった
心配そうに見つめる丁

「じゃあおねぇちゃんがお母さんでお兄ちゃんがお父さんね?」

分かったとだけ言って役を受け入れる

ビデオテープは無かったのでスマートフォンで撮る

中原パパ?は娘になされるがまま

「パパ笑ってー」

と頬をグイグイと引っ張る

5分後


「何か思ってるのと違う、」

そういわれ選手交代

部屋の一角にある台所を使い
お昼ご飯を母親と作る所を撮る
という作戦に移った中原パパが
スマートフォンを片手に
二人の姿を撮っていた、

お昼ご飯は手軽なハンバーグだ、


「まずはミンチをこねま〜す」


ノリノリな丁ママをよそに
中原パパは神妙な顔で二人を撮っていた、

「中也、君は娘や妻にそんな顔で
ビデオを撮るの?」

どこか天敵に似た喋り方と言葉の内容に
少しムッとした表情の中也に
丁ママは
呆れかえったような表情をする

「じゃあ中也今からただのカメラマンね、」

という少し早口な言葉と共に
娘に話しかける

「パパが帰って来るまでに
美味しいハンバーグ作ろうね〜」

うん!と娘まで共犯になって

中原パパは消え去り、

パパはまだ帰ってきていない

という設定が生まれた、
ハンバーグを和気藹々と捏ねる中、
娘が話を持ち上げた

「ねぇ、ママってパパのどこが好きなの?」  

スマートフォンのレンズがぶれる、
 
「えーっと、そうだなぁ、 確かに
悪どくってツッコミばっかりで
五月蠅いけど」

どんな父親だよ、

中原(元)パパはツッコミながらも
スマートフォンで二人の話しに
耳を傾ける

「それに酒に弱いのに酒癖が酷いし」

それに同調するように娘が話を続ける

「そうそうそれでよく同僚の人に迷惑かけてるでしょ」

まるでご近所の主婦同士の会話だ、

更に主婦二人の話の勢いは増し

「私よりちっさいし、
1日一回「太宰」って名前だしてくるし」

おい、それってといおうとしたら 

娘に睨まれつい動きと言葉が止まる

「でもね、とっても良い人、
部下思いで、お洒落さんで、
人を良くみていて、強くて…」

「其処までだ、」

いつの間にかスマートフォンを置き

丁を押し倒す中原

「ちょっ!中也!子供の前!」

「大丈夫だ、もういねぇよ、」

辺りを見回したが

子供の姿は見えなかった 

「さっき一人で外にでていった、
外に保護者みたいな男がいたから
そいつの所に行ったんだろう、
というかお前そんな事もわからない程語るのに集中してたのか?」

大丈夫かなと
ドアの向こうを心配する丁

「まずてめえの心配をしたらどうだ?」

という中原の顔はドS心に満ちていた、



ドアの向こうではひとりの女と
ひとりの帽子を被った小さな男が
結ばれた、

ドアの外では…

「ナツメ!遅い!」

和風の少女が
ひとりの男に文句をいいつつも駆け寄る

駆け寄る少女に男が声をかける

「どうだい?この町の人々は
面白いだろう?」

うん!と明るく返事をしながら
少女は男に今日起きた事を
楽しそうに話す、


ホームビデオの日

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