今日は何の日?(小説)

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仕事を終え、
同僚兼彼女である丁
の部屋に直行する、

ドアノブに手をかけようと手を伸ばすと、

中から愛しい彼女の声と掃除機の音がした、

「あっけんた…骨無し…
明日の午後6時に……ありがと……」

頭が真っ白になる、

いつの間にかに走り出して

何時ものバーまで来ていた、

はいってマスターにウイスキーを頼み
一気に飲み干す、

喉が焼ける程にいたい、


「やぁ、」

店の奥の方にいたのか

太宰が俺に近づく

「どうしたの?彼女は…」

太宰が織田作の

今にも泣きそうな顔に言葉を噤む、

「太宰、」

「…ん?」

あくまで笑顔を装う太宰、

「少し付き合ってくれ」

織田作の隣に無言で座る、

「丁が明日、
けんたとかっていう男と遭うらしい、」

驚いた顔で俺の顔を見る太宰、

「織田作…今日ウチに泊まる?」

彼なりの気遣いなのだろう、

丁には太宰が連絡を入れてくれた、

本当、何て良い奴なんだろう、

酔った俺を快く家に入れてくれた
太宰をみた俺は安心しきって、

いつの間にかに深い闇に溶け込んでいた、

翌朝になって

ベーコンエッグの匂いに起こされた、

おはようと挨拶するが

太宰は何やらニコニコと笑っている、

「織田作!今日6時に
丁のウチに来たまえよ」

朝から丁という今の俺にとって

弱点にも等しい言葉はまさに
3重骨折よりもいたいたしいものだった、

「どうせだったらその
けんたとかっていう男に
ガツンと言ってやるといいよ、
丁は俺の女だ!ってねぇ」

最初言われた時俺は行く気はなかった、
しかし、その日は仕事が6時前に
終わってしまった、

丁の言葉がうっすらと蘇る、

骨無し

あれは俺のことだったのではないか?

丁に対し

焦りの気持ちがにじみ出る、

太宰に言われたから、

あくまで太宰への恩義の気持ちを込め、
 
丁の家へむかう、

昨日手に掛けたドアノブが見え、

リプレイが何度となく頭の中をながれる、

扉に手をかける、中はとても静かだった、

居ないのかと思いドアノブを回すが、


開いていた、



若干の違和感と不信感を抱きながら

部屋に入る、

靴を脱ぎ、

他の靴が無いか確認するが

相手が慎重なのか、

それともまだ来ていなかったのか、

リビングへ繋がる扉にさしかかり、

ドアノブに手をかける、

無音で開かれたドアは

30°位開いた所で突然、

パァーンという破裂音と共に

紙テープが此方を襲う

其れも一、二つではなく

六、五くらいの束が一斉に、

其れを鳴らしているのは、

「 丁、太宰、
それに安吾の三人だった、」

丁がつかさず口を開く

「今日で恋人になってちょーど1年、
っていう事で皆にきてもらっちゃった」

テヘッとでもいいそうな可愛い笑顔に

安心と疑問を抱く

「けんたとかっていう男と
会うんじゃなかったのか?」

その言葉を言うと太宰は床で笑い転げ、

安吾はらしくもなく顔を背け

肩を震わせている

とうの本人である丁は、

顔を赤らめて食卓の方を見つめる、

食卓にはカレーとチキンやクリスプ、

ポテトなど

ケンタッキーで買った

と思われる商品があった、ん?

ケンタッキー?


まさかと思い少し青ざめた顔で

丁に確認をとるように見つめる

丁は気づいたらしくボソッとバカァと呟いた、



俺はただいま修羅場のど真ん中だ

「あっケンタッキーの骨無しチキン
明日の午後6時に30個、はい、
ありがとうございます、失礼します。」

っていうのをどうやったら
そんな風に間違えるんだ、

太宰と丁の2人、

(安吾は第三者目線のあきれた顔で
此方をみていた、)

は酒の勢いもあってかいいよってきた、

織田作の反省会はまだまだ続くだろう、

しかし、2人の愛は深まったとか?





おまけ

「まあ、丁ちゃんへの愛を
確かめるチャンスとして、
良かったんじゃなかったのかい?」

それにと言ってスマートフォンを取り出す、

丁がのぞきこみ

「一万円で買う、何だったら
百万でもいい!」

丁の目が輝くものなんだ?

と思いながらサッと見ようとする

「プライバシー侵害だよぉ?」

といって逸らしたスマートフォンに

織田作の弱ってるとこが移っている事は
 
織田作への一生の秘密


ケンタッキーの日

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