今日は何の日?(小説)

□12/7
1ページ/1ページ

今日は与謝野の誕生日、

なのに、

「私は酒だけで出来てるとでも
思われてるのかい、」

与謝野の机の上には


山積みのワインや日本酒やビール、

流石に傷つく与謝野に近く丁、

「うわぁ、お酒ばっかですねぇ、」

丁が与謝野の机を見て

唖然とする

「暫くは酒に困らないねぇ」

与謝野が淋しそうにくくくと笑う

丁が懐から

和風のリボンでラッピングされた

緑の箱を取り出す

「良かったらどうぞ、
皆さんみたいにお酒にしようかな
とも思ったんですけど、
やっぱり与謝野先生は女性ですので、
好みじゃなかったら
捨ててもらっても結構ですので、」

そういって渡された箱を
与謝野はじっと見つめる、

「有り難いねぇ、
今開けて良いかい?」

与謝野の言葉にブンブンと
首を縦にふる

手袋を外し、山積みの酒の上に置く、

リボンをゆっくり外し手袋の上に置く

その様子を心配そうに見守る丁、

箱を開けると中身は

椿をモチーフにした

綺麗なカチューシャだった、

「気に入りませんでした?」

先程より心配そうに与謝野を見る、

カチューシャを手に取り、

何時も付けている、蝶の髪留めを取り

付け変えて見る、

丁は鏡を懐から取り出し与謝野に渡す

「やっぱり与謝野先生には
これが似合います、」

うんうんと頷く丁、

じっと自分のカチューシャ姿を見る与謝野、

先程から何も喋らない与謝野に丁

はまた不安に成る、

其処に誰かが部屋に入ってきた、


業務が終了し後は帰るだけとなった

国木田と太宰、

国木田が口々に「今日も貴様は…」

と云っているが太宰は其れを物供せず

丁と与謝野に近づいて来た

「与謝野先生、
イメージチェンジですか?
とてもお似合いですよ、
改めて此処で心中をお願いしたい位」

呆れるような台詞を吐きながら

与謝野を心中に誘う太宰、

与謝野は鏡を丁に返す、

「そう言えば、太宰、国木田、
あんたらからプレゼント、
なーんも貰って無かったねぇ、」

ニャァと笑う与謝野に

獲物二匹は冷や汗を書き始める、

「いや、今手持ちが」

「明日の業務に支障が…」

言い訳を始める獲物二匹に与謝野は

溜め息をつき諦める、

「与謝野先生、私で良ければ
お付き合いしますよ?
今日は与謝野先生の誕生日ですし、
此の量のお酒を自宅に持ち帰るのは
大変です、ですけど私は
与謝野先生みたいに
お酒を呑む事は出来ません、
その分与謝野先生のお話は
聴く事はできます、」
   
丁の突然の言葉に

室内はシンと静まる 

「丁が此処まで
云ってるっつーうのに
男共は黙ってんのかい?」

与謝野の言葉に獲物二匹は

ドキッとする



翌日から、

与謝野は丁から貰った

椿のカチューシャを付け、

気分良さげに出勤してきて、

いつも道理机仕事をしていた丁に

「ありがとう」と御礼をいった、

一方太宰、国木田の仕事が

捗ら無かったのは言うまでもない、

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ