今日は何の日?(小説)

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幹部の中原に芥川とその部下樋口、

黒蜥蜴の銀、立原、広津と、

此の部屋の主である梶井は

いつも以上にピリピリとした

空気になっていた

「皆さんどうされたんです?
そんなに深刻そうな顔して」

たまらず樋口が中原に問いかける

「深刻そうじゃねぇ、死にそうなんだ、」

中原の言葉にはあ?

と首を傾ける

「中原さん違う、死んでる」

銀が可愛らしい声で指さすは

「立原?!大丈夫」

慌てて灰のように白くなった立原の

背中をポンポンとさする、

「だ、大丈夫っ…トラウマが
帰ってきただけだから…」

なんだ?何があったんだ…

考えて居るうちに中原が説明する、

「今日は紅葉の姐さんの誕生日だ、
だがしかぁし!紅葉の姐さんは
愛や希望がきらいだ」

真面目に言う中原にはぁ、と声が漏れる

「去年の生け贄は立原のみで済んだが、
今年はあの裏切り者の餓鬼が居ねぇ、
というとこは、
誕生日プレゼント選びを失敗したなら、
命は無くなったと見ていいし、
去年よりも被害が多くなるだろう、」

あげなきゃ良いんじゃないですか?

という言葉はどうやら聞き入れて

貰えなさそうなので飲み込む

「此処は皆で一つの物を買いましょう、
そうすれば例え失敗しても
ダメージは分割される筈です、」

立原は起き上がり提案する、

若干何時も仕事している時より

真面目な点はあまりつっこまなかった、

「そうだな、じゃあ次に…誰が選ぶ?」

一斉に皆さんが私を見る、

汗が滲み出る、

芥川先輩に助けを求めるように  

目線を送る

「樋口が良いのではないか?」

なんだろう、普段の私だったら

期待されてんだなって喜ぶけど

こういう時は…



結局私は責任重大な買い物に

駆り出された、


仕方なく紅葉さんについて少し考えた、

「そう言えばこの間、
ポシェットの底が敗れたって
言ってたな…」

そう思いながら

ポシェット売り場を見ること3時間、

店員の話を聞いたりする事によって

選ばれたプレゼント、

渡すのは皆で、

そう言った中原の言葉通り、

皆で渡すため宴会を

梶井の部屋で開いた、

勿論紅葉には内緒だ、

時間になって

芥川に案内されていると思われる

紅葉の声が聞こえ、皆固まる、

今日この方を不機嫌にさせたら

命はない、そう思うと何故か

固まらずにはいられない、

「よし、いくぞ、」 

皆一斉にクラッカーをもつ、

バサッ パッパッパン

「紅葉さんお誕生日おめでとうございます!
これ私達からです!」

驚く紅葉さんに尽かさず

プレゼントを渡す

「あ、ありがとうな、」

中身を見るためリボンを取る、

全員の緊張感がピークに達する

「あ、」

中のポシェットは雪の結晶柄の

少し大きな物だった

「不味い…」

樋口以外の皆がそう思った、

予想通り、紅葉は

「鏡花…」 

と言ってポシェットを握りしめる、

「あ、」

樋口が漸く事の重大さに気づく、

「紅葉さん、すみません、
貴方を傷つけるつもりでは…
すみません」

樋口が静かに謝る

「いや、よい、ありがたく
使わせて貰おう、」

そう言っても部屋の空気は重くなる

「やあ、皆して楽しそうな事を
してるねぇ、私も入れて欲しいな」

「エリスもぉ!」

そう言って入ってきたのは

「首領?!エリス嬢?!」

皆が吃驚する中、

喧しいのが入ってきた、

という紅葉の怒りが高まる

「あ、そうだ、今日は
紅葉君の誕生日かぁ、
そうだねぇ私からは
愛の籠もったプレゼントを…「あ…」

鴎外以外の皆が

その異変に素早く気づき

少し二人から離れる、

皆は知らなかった紅葉の恐ろしさを、

「鴎外殿…」

紅葉が鴎外の耳元で何かを囁く、

途端に鴎外の顔が

赤や青、黄、緑、紫に変わりながら

崩れ落ちるのを確かにみて、

皆が思った


「精神的攻撃?!」



後日から鴎外の紅葉に対する態度が

手厚いものに変わったとか



紅葉さん!お誕生日おめでとう!

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